2014/12/26 子門真人 なぎらけんいち 70年代歌謡曲 楽曲紹介

 「およげ!たいやきくん」子門真人



今年最後の楽曲紹介は当時社会的にも大きなヒットとなったこの曲でございます。あまりに有名で、あまりにすごい売上記録で今もこの記録は破られていません。

この売上でキャニオンは「たいやきビル」と呼ばれる新社屋を建設。たいそう羽振りが良かったと漏れ聞いております。が、買い取り契約ということで子門真人さんにもなぎら健壱さんにもほぼ支払いはされておらず、物品税の対象外になる「童謡」扱いだったこともあってキャニオン(とフジテレビ関係で)ボロもうけだったわけですね。

ちなみに子門真人さんはこの当時円谷音楽出版の「社員」だったこともあって、テレビ出演などの報酬もろくに支払われていなかったことが窺えます。1993年にはそんな芸能界に嫌気がさしたのか引退し、隠居生活を送っていることが伝えられましたが、その後も「あの人は今」的な番組は出演拒否していますし、よほど酷い扱いを受けたんだろうなと同情するところがあります。(1971年の仮面ライダーのテーマ曲もアルバイト歌唱でほとんど金銭を受け取っていないようなんですよね)

さて、楽曲ですが、個人的にはB面「いっぽんでもニンジン」のほうが好きではあります。一応形的には「両A面」でありまして、いっぽんでもニンジンにもジャケットが存在します。なぎら健壱さんも買い取り契約だったようで、今でもタモリ倶楽部などで、あの(ポニーキャニオン社屋)の玄関くらいは俺の印税分で作ったんだぜとカマしているのを何度か聞いております。

当時は国鉄ストが頻発していた時期で特に75年12月のスト権ストでは約8日間にわたって国鉄が全面運休したわけで、社会的に大きな影響が出たと書きたいところですが、実際は地方を中心に国鉄に対するあきらめや、車社会へのシフトが一気に進み、実際社会生活は首都圏の通勤客以外はそれほど影響が無かったわけです。とはいえ、出勤できない多くの「お父さん」が家でポンキッキを子供と見ながらこの曲を聴いたであろうことは想像に難くありません。この曲に歌われる「社会に嫌になった鯛焼き」は最後に「食べられてしまう」んです。

国鉄がJRになっって早25年、千葉の一部で「花見スト」が行われるのと、単発に行われる航空会社のスト以外は日本では交通ストはほとんど見られなくなりました。それが労働強化や今のブラック企業に繋がるのも事実ですが、日本人らしい「おもてなし」の一環としての定時で動く交通機関が構築されたと考えると、このストと「およげ!たいやきくん」は今に繋がるターニングポイントなのかもしれません。


「およげ!たいやきくん」子門真人
発売日:1975年12月25日
オリコン最高位:1位
売上枚数:453.6万枚
レーベル:キャニオン
レコード番号:CX-101

1:およげ!たいやきくん
作詞:高田ひろお
作曲:佐瀬寿一
編曲:佐瀬寿一
歌唱:子門真人

2:いっぽんでもニンジン
作詞:前田利博
作曲:佐瀬寿一
編曲:佐瀬寿一
歌唱:なぎらけんいち


いっぽんでもニンジン
なぎらけんいち
2008/03/05

およげ!たいやきくん
子門真人
2008/03/05

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