木曜日のタマネギ

2018/09/29　歌謡曲が好き 名曲お宝音楽祭

フジテレビ系「名曲お宝音楽祭」

9月26日にフジテレビ系で「名曲お宝音楽祭」という番組が放送されました。
ここ最近各局過去の歌番組コンテンツを利用した「懐かしの～」的な番組を多く放送していますが、今回フジテレビはちょっと別な視点でこのような番組を作ってきました。

ただ、地上波コンテンツとして流すためにはそれなりのゲストが必要という観点が抜けきれないわけですよね。なので、過去の歌唱シーンでゲストのどうでもいいしゃべりやワイプ画像を載せることになる。これは、過去のコンテンツを再利用させないというテレビ局の意思なのかもしれないけれど、非常に不快です。

出演者にモーリーロバートソン氏を連れてきてこの扱いかよとも思う。洋邦両方に詳しい氏にろくにコメントさせないのなら意味は無く、もう少しスタジオを静かにさせて他の曲を聴かせた方がよかった。

しかし、これも地上波だからこそでもありましょう。そしてこれがBS・CSならまた予算上これだけの映像を見せられないのだろうなとも思うわけです。

それにしても歌番組は各局の差が出るよなとも思います。フジテレビの夜ヒットに関しては生放送スタジオセットですので、結構大胆な演出ができる。若干見飽きた感すらある沢田研二さんの畳サムライ回も、やはり見直せば鬼気迫る見ている者を黙らせてしまう迫力があります。古館氏の言うブルーハーツもタイマーズも今見直せば、当時最も早かったということ。先駆者だった。それまでも司会者に媚びないバンドはたくさんいたけれど、それができる最後の時期だったのかもしれません。今じゃネットの炎上だけで無く、社会的に抹殺されてもおかしくない。この当時は「たのしければいいじゃないか」という寛容性＋「金になればいいじゃないか」というバブル的考えがある程度同居していたから、これが許されていたのかもしれない。

この番組の何が残念だったのかって、北海道では番組最後の5分程度が放送されずローカルニュースになったこと。これはフジテレビ系列のネット問題で関西テレビなども同じだったと思われます。番組クレジットも無く、尻切れに番組を終了するというのが認められるのか？番組制作の責任をどう考えているのか見識を伺いたい。
フジテレビ系のネット枠で過去にもこのような問題があることは指摘されていたはずで、改善無く「全国放送」の一部地域視聴者が番組を全て見られないというのは残念きわまりない。

結局このようなことが続けば、過去の番組すらyoutubeで見ればいいやになる。違法アップロードだと騒ぐのはいいが、現実的に全国ネットと言われる番組すら地域でこのような雑な扱いをされることに晒されている地方の視聴者は最後のよりどころとしてネットを頼る。そして、親切な違法アップロードユーザーがそれに応えるという構図です。

このテレビ地域間格差問題が21世紀もとっくに過ぎた現在でも解決されていないのは残念です。ラジオが有料でありながらも全国のどの地域の番組も聞け、1週間遡れるというものを作り上げた。そして最近ではタイムシフト録画のような過去数週間全番組を録画するような機器が出てきている（中央局の番組が突然夜中や休日昼間に放送されるのを助ける）背景には、地方民の情報に関する悲痛な叫びに中央の放送局が全く無頓着で、無視し続けている結果でもあろうかと思います。

私の世代、親の世代はテレビをまだ情報の中心に占めていますが、私の息子達の世代はテレビを見ない。全くというほどテレビに興味を抱かない。このことにもっと危機感を持たなければなりません。テレビより楽しいものをたいした金も出さずに視聴できている彼らはテレビの顧客にならないでしょう。「部屋にテレビは要らない」こういわれてしまうテレビがもう一度輝くには、まず地方の視聴格差の是正、そして、「何を見せたいのか」を追求することです。

今回の「名曲お宝音楽祭」は見てほしい対象に対して反感を持たせる編集を行いました。次回同じような番組を作っても、ああ、あれ、スタジオ煩いからね。同じ映像ネットに上がってるからそっちのほうがいいよって思うことです。
逆に番組だからこそ当時のエピソードなどを交えた部分があれば随分楽しめるはずでもあるのです。

先日のCSTBSチャンネルのザ・ベストテンの再放送。放送できない部分をカットしても当時の全編を放送することに意味があり、当時を話す黒柳さんのエピソードがあってこその番組でした。あのような番組は地上波ではやはり無理で、カネを払っても見たいという欲求に応え、それができるのがCSの強みでもあるのでしょう。

フジテレビは生音楽番組だけでなく、良質な音楽番組を今も提供している放送局だけに、もっと音楽番組に振った当時を懐かしむ人にも、それを新しく見る世代にも向けた番組を作ってほしいなとも思うのです。ひょうきんベストテンだけでなく真面目な音楽番組でおふざけしたビッグベストテンなんてのもあったんですから。逆にほとんど視聴した人がいないビッグベストテンの映像は貴重なはずですよ。