2024/05/09 歌謡曲が好き もくたま特集 70年代歌謡曲 尾崎亜美 楽曲紹介

尾崎亜美さんの東芝EMI時代のシングル楽曲を聴いてみる


目次
  1. 1976年03月20日 冥想
  2. 1976年11月20日 旅
  3. 1977年02月05日 マイ・ピュア・レディ
  4. 1977年07月20日 初恋の通り雨
  5. 1978年02月20日 ストップ・モーション
  6. 1978年06月20日 嵐を起こして
  7. 1978年10月20日 あなたはショッキング シャイン
  8. 1979年02月20日 ジェシー
  9. 1979年06月20日 スローダンシング
  10. 配信

今週のもくたま特集は尾崎亜美さんのデビューから1979年までの東芝EMI所属時代の楽曲を聴いていきましょう。
ワタシ個人は尾崎亜美さん特段のファンというわけではないのだけど、ふと聴きたくなる、そして、聴いたら格好いいなぁ、可愛いなぁと思うのです。しかし、それを聞くのはもう少し後の楽曲で、この初期の曲はほとんど未知。今回はじめて通しで聴いてみることにします。


アーティスト検索:尾崎亜美
https://www.thursdayonion.jp/search.php?aid=AaNyHtcOwbwDH3HKAszlcw%3D%3D


冥想
尾崎亜美
1976/3/20 720312878

1976年03月20日 冥想

デビュー曲です。当時ワタシは3歳ですが、親がみていたテレビかラジオでこの曲の記憶はあります。もちろんリアルな時期ではないとは思いますが。
今聞いても格好いい、そして、歌詞は意味深。あくまで「冥想」なんですよね。ジャケットの裏には尾崎亜美さんの曲とは別に「詩」があって、どこか尾崎亜美さんは今の若い人にも理解できるような、どこか地味な、どこか個人主義な、いえ、それは誰もが持っている感情であって、でも、どこか寄り添ってくれて、今寂しい人に少しだけ元気を分けてくれるような気がします。
むしろどこかその当時の世相とはズレていたのかもしれません。今聞くとこの歌詞の中身がすごく共感できます。

なお、このレコードは1976年8月5日にレコード番号を変えて再版されています。

Track:1 冥想
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆
管編曲:村岡建

B面も同じく自身の作詞作曲です。「まるで鏡 あーあ、まるでわたし あーあ」飛ばされそうなポスターを自分に投影して、飛んでいったポスターは「それよりひどい」と形容します。
実際の尾崎亜美さんがこの当時どのような感情でこの曲を書いたのかわかりませんが、自分の若き日、一人暮らしの狭いアパートを思い出して、寂しいなぁって。その時にこの曲が側にいてくれたら、少し紛らわせたかもしれません。A面に対して聴くことが全くなかっただけに、今この曲を知るのは少し恥ずかしく、そして、聞き入っています。
やはり、もしかすると当時の若者の感覚より、今の若者の感覚に寄り添っているのかもしれませんね。時代を40年以上先取りしていたのか、社会がそれだけ普遍的なものなのか。

Track:2 冬のポスター
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆

冬のポスター
尾崎亜美
1996/1/1 720312878



尾崎亜美
1977/1/1 720312878

1976年11月20日 旅

ワタシは一人旅が好きで、それが旅かどうかはともかく、子供の頃から一人で自転車で遠くの、知らない景色を見に行くのが好きでした。今でもそれが車とか電車とか飛行機に変わって入るけれど、いつか、どこか自分の知らない「やさしい町」に着けるのかしら。尾崎亜美さんの初期の曲はどこか「ひとり」がキーワードになってるようにも感じます。それは本当の旅だけでなく、人生としてもなのかもしれません。
連れ添う人がいる旅も楽しい、でも、最後はひとり。

Track:1 旅
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆

B面は「偶然」です。別れた彼を「偶然」見つけています。そして、相手に気が付かれてしまう。どうなんだろう、実は気がつかれて欲しかったのかもしれないし、何か別な言葉がかけられるのを待っていたのかもしれない。実際はあの頃と変わらないあなた、笑わなくなった私。
感情移入がしやすい、平坦な言葉と、聞きやすいメロディ、ふと引き込まれるのも、それもまた彼女の楽曲の魅力なのでしょう。
人と場所は結びつき、その人と離れると、場所は辛くなる。

Track:2 偶然
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆

偶然
尾崎亜美
1977/1/1 720312878


マイ・ピュア・レディ
尾崎亜美
1977/2/5 720312878

1977年02月05日 マイ・ピュア・レディ

本人の最大のヒット曲で、資生堂の春のキャンペーンソングとして何度も聞いた楽曲です。改めて聴くと、ダイヤルとコイン、そしてノートに書いたテレフォンナンバーは今では理解できないことではあるけれど、普遍的なラブソングとしてスマホとお相手のSNSアカウントだと思えば理解はできるでしょうか。
そして、今聞くと、春に恋を始めるに気分が高揚する感じを非常に良く伝えています。こんなに言葉の数が少ないのに、どこかワクワクして、そしてその情景まで浮かぶ。やっぱりすごいお方ですよ。化粧品の広告用の曲ですから、その意図が正しく伝わらなければなりません。それを少ない言葉で、そして曲でも伝えられる。作詞も作曲も、そして自身で歌うシンガーソングライターというのはすごいなと改めて思うのです。
シングル曲の曲の長さを見ると、尾崎亜美さんの楽曲は多くが4分オーバーですが、このシングルは3分代前半と特に短くなっています。ラジオでかけてもらえやすいこともヒットの法則になるのでしょう。

Track:1 マイ・ピュア・レディ
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆

そのB面、こんな楽曲が隠されていたんですね。歌い方もA面とは随分違って、こちらの曲の方がワタシは好きで、こんなに高揚感のある、そして情景が浮かんで、ワタシの大好きなあなたが目の前にいるような、そんな気持ちにさせてくれる。
あれ?PVか何か見た?そんなふうに思うように、目の前にありありと情景が浮かぶのです。いえいえ、自分の想像力、頭に描く画像を補完してくれるような歌詞、それが載る曲。尾崎亜美さん、すごい!って思わせてくれます。

Track:2 サンライト
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆

サンライト
尾崎亜美
2002/6/19 720312878


初恋の通り雨
尾崎亜美
1977/1/1 720370219

1977年07月20日 初恋の通り雨

東芝EMI時代のベスト盤になぜか入っていないこのシングルですが、あれ?好き!ってそんな気持ちになる楽曲。情景がありありと頭に再生できるのです。この二人の会話は「もうすぐ雨があがってしまうね」「こんな日は私 好きじゃないわ」だけなんです。あとは情景。
雨宿りの二人がギクシャクしながら、そして、雨をキーワードに近づけるのか離れるのか。展開をワクワクしながら聞くこともできます。不器用ですから♪

Track:1 初恋の通り雨
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆

B面も雨、こちらはうって変わって、雨の中空港へ向けて走る車の中。手荷物を持たない彼女が運転します。そして彼は空港で彼女を待つ。さよならを言われるとも知らずに。実際に会うまでの情景は描かれません。何があったのかもわかりません。でも、彼女の気持ちは強固で、さよならを言うというために向かう。A面の初恋の通り雨と対ならば、少し寂しい終わり方でしょうね。

Track:2 さよならを言うために
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:松任谷正隆

さよならを言うために
尾崎亜美
1977/1/1 720370219


ストップモーション
尾崎亜美
1978/1/1 720312878

1978年02月20日 ストップ・モーション

この楽曲からプロデューサーである松任谷正隆氏が離れて、自身が編曲も行っています。そう思うと随分印象が違います。
Stop!と驚かせて、そして、さっき別れた彼の元に駆け寄る。あらま、ドラマの展開じゃないですか。月曜9時でもやらないベタな展開ですが、それでも、格好いいブラスアレンジも含めて許せちゃう。このちょっとあざとい感じに男の子は弱いのよ。そして、それを演じることができる関係だったとも。

Track:1 ストップ・モーション
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

B面はもしかするとまた「対」なんでしょうか。ふるさと行きの汽車、さよなら東京、ほのかにのこるあなたのぬくもり。
ワタシも少しだけちょっとだけ似た感情があったお相手がおったわけで、そんなことを思い出して、少しだけ目頭を熱くして。
なぜ彼から離れて故郷に戻ることになったのかはわかりませんが、嫌いになった別れでもないのでしょう。そして、きっともう二度と彼とキスすることはない。それがわかる切なさです。
楽曲によって歌い方が大きく変わる。感情の起伏も含めた尾崎亜美さんの魅力を感じることができる楽曲かもしれません。

Track:2 ラスト・キッス
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

ラストキッス
尾崎亜美
1978/1/1 720312878


嵐を起こして
尾崎亜美
1978/1/1 720312878

1978年06月20日 嵐を起こして

やっぱり海は男女を少し近づけます。彼の瞳に映る波は嵐を呼ぶぜです(違うな)今は津波を起こして困らせたいわという表現は難しいでしょうが、彼の瞳には静かに漂う波、きっとこの男女に何もなかったということです。
海を見ると心が落ち着き、そして、トワイライトな時間は二人を親密にさせます。隣に座るひとがどんな気持ちなのか、バレないように横目に見て、しっかりバレて、なんか、そういう淡い恋心を思い出させてくれます。

Track:1 嵐を起こして
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

らいむらいとですよ。やっぱりこの当て字はクるものがあります。
この名前のお店はちょっとした町にはたいていあって、そしてきっとテーブルにはコインを入れると出てくる占いの機械があって、その中身に一喜一憂して、そしてお店の音を少し入れ、その世界に聞いている人を引き込んでしまいます。
喫茶店というのは不思議な空間で、もちろんお茶を飲み、ランチを食べ、時にマスターやママさんと楽しい時間を過ごし、でも、きっと、隣のあなたとの時間を楽しむための場所。その場所が、少し悲しい思い出の場所になっても、でも、少しほほえんで来よう。そう思える場所。

Track:2 来夢来人
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

来夢来人
尾崎亜美
1978/1/1 720312878


あなたはショッキング・シャイン
尾崎亜美
1978/1/1 720312878

1978年10月20日 あなたはショッキング シャイン

これまでとは少し違ったタイプの曲を持ってきました。少し強い、積極的な女性として彼をつかまえようとします。
特にタイアップの記述はなさそうですが、何かCMとかに使われていてもいいような楽曲ですね。
間奏アレンジが格好良くて、もういちど針を落としたくなる。秋だけど、少し夏を感じながら、そして青空に向かって笑顔になれそうな、そんな楽曲いいですね!

Track:1 あなたはショッキング シャイン
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

B面では「愛を唄わない」です。あなたのためのメロディは今夜ピリオドを打つのって、そして、実際に高い空へ召されたの、天国へ連れてって、それはただの男女の別れではないのかもしれません。
出だしから強い尾崎亜美さんが歌う内容が、実際にどうなのかはわからない中でも、歌詞を拾いながら情景を組み立てて聞いていると、なにか説得されて、そして、勝手に納得してしまうような。聞いてよかった聞けて良かった楽曲に思います。
1978年の尾崎亜美さんは髙橋真梨子さんや杏里さんに楽曲を提供するソングライターとしての活動も続けています。セルフプロデュースも含めて非常に多忙であったとも思うのです。

Track:2 私は愛を唄わない
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

私は愛を唄わない
尾崎亜美
1978/1/1 720312878


ジェシー
尾崎亜美
1979/1/1 720312878

1979年02月20日 ジェシー

この楽曲、一度聞いて、あれ?って思って、もう一度聞き直して、やっぱり尾崎亜美さんってすごいなぁって思い直して、そしてもう一度再生しなおしました。
本当に短い歌詞の中だから、そこから読み取れることはあまりありません。でも、曲の中に隠された何かメッセージがあるんじゃないかと読み取る努力をしました。
でも、きっと、おっさんの立場から見て、女性って、なんでもお見通しなんだろうなぁ。こちらの下心も、あなたを抱いた時の意図も、そして苦しみも楽しみも。荷物はひとつだけよ。

Track:1 ジェシー
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

B面はうって変わって、これまでとは比較にならないほど歌詞のワードが多い楽曲です。「ひとは誰でも回転木馬知らない間に年老いていくだけ」と、どきっとするワードで、こちらもきっと彼女には全てお見通しなのかなとも。
1980年という新しい時代に変わる、歌謡界もヒットソングとそうではない曲が大きく別れ、その指標がはっきりわかるザ・ベストテンのような番組もできて、その真っ只中におられるソングライターの皆さんはお辛い時代だったんじゃないかなとも推測するところです。
このレコードの時期に尾崎亜美さんがどのような心境だったかはわかりませんが、もしかするとそんなお辛い時期だったのかしら。

Track:2 回転木馬
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

回転木馬 (シングル・バージョン)
尾崎亜美
2002/6/19 720312878


スローダンシング
尾崎亜美
1979/1/1 720312878

1979年06月20日 スローダンシング

この楽曲が東芝EMIでの最後のシングルになります。この楽曲もなにか心境的にお辛いのではないかと思わせないでもありません。
デビューから丸三年、そして提供楽曲も含め、自身で楽曲制作を続ける中で、それがどうしても何かに追いかけられるような、何かに逃げたい感じにも見えないでもありません。
踊りつかれるのは、もしかすると楽曲制作に追い立てられている自身なのかもしれません。少し休みたかったのかもしれませんね。

Track:1 スローダンシング
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

A面で優しい言葉はいらないとして、B面ははっきり聞かせてそんな優しさなんてと。それにしてもこの楽曲の振り幅、どんな曲でも作れるんじゃないかと思わせてくれる。
ここまで9枚のシングル、本当にバラエティに富んでいて、全て作詞作曲されていますから、どのあたりが本心なのかしら?
この「変わる」ということを強く意識しているのがレコード会社の移籍も含めて自身の環境を変えたいという意識だったのかもしれません。あくまでここまで楽曲を聞いているだけの感想ではありますが。

Track:2 心にメイクアップ
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
編曲:尾崎亜美

心にメイクアップ
尾崎亜美
1979/1/1 720312878

このあと尾崎亜美さんは約1年間リリース活動を休止して、1980年にキャニオンレコードのF-LABELに移籍します。1997年にはまた東芝EMIに復帰、2000年代は日本コロムビアからシングルをお出しになります。当サイトで把握しているだけでも41枚ものシングルを出されています。

自身の名義での楽曲はオリコン上位にランクインすることは少ない中でも、ソングライターとしての楽曲提供を続けられ、多くのヒット曲を世に出されています。もちろん今でもソングライターとしても、歌手としてのライブ活動も続けられています。

配信
尾崎亜美さんは東芝EMI・キャニオン・ポニーキャニオン時代のほとんどの楽曲がサブスクリプション配信されており、簡便に聞くことができます。今回紹介した東芝EMI初期のシングル楽曲をまとめました。是非聞いてみてくださいね。


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