2023/10/26 歌謡曲が好き もくたま特集 一風堂 80年代歌謡曲 楽曲紹介

一風堂のシングル楽曲を聴いてみる


目次
  1. 1979年8月21日 もっとリアルに
  2. 1980年2月25日 ブレイクアウト・ジェネレーション (狂育世代)
  3. 1980年9月21日 ミステリアス・ナイト
  4. 1981年7月21日 ラジオ・ファンタジー
  5. 1981年12月31日 ふたりのシーズン
  6. 1982年7月21日 すみれ September Love
  7. 1982年12月10日 アイ・ニード・ユー
  8. 1983年4月21日 アフリカン・ナイツ
  9. 1983年9月21日 ドリーム・オブ・ザ・ジプシーズ
  10. 1984年4月1日 ムーンライト・マジック
  11. 配信リンク

今週は一風堂を取り上げていきたいと思います。
どうしても「すみれ〜」のイメージで一発屋的な扱いをされてしまうのですが、これが聴いてみるといいんですよ。
そのデビューは1979年、やっぱり1970年代と1980年代という音楽ヒットチャートとしては大きな転換点になる時代、その汽水域のような時代にデビューしています。

アーティスト検索:一風堂
https://www.thursdayonion.jp/search.php?aid=JRmuHi0vJBN%2B5Dpkn4hpTQ%3D%3D


もっとリアルに
一風堂
2010/2/24 1536169630

1979年8月21日 もっとリアルに

では、デビュー曲を聞く前に、デビュー曲の裏ジャケットを見てみます。
当時のシングルレコード、通常ジャケットは紙1枚だけ。表は多くの場合カラー印刷されていて大きくタイトルが表示されて、そしてアーティスの写真があります。裏面は歌詞カードになっていますが、そこにアーティストからの告知事項やキャッチフレーズなんかが印刷されています。

このデビュー曲の裏ジャケットにはこんな文句が書かれています。
「俺たちを軽薄と呼んでもかまわない!山本翔の盟友、噂の”一風堂”デビュー」
ですよ。で、山本翔ってどちら?といえばGSバンド「ズー・ニー・ヴー」の最終期キャニオン時代に所属していた山本翔さん。ソロデビューにあたって一風堂メンバーの土屋昌巳さんが編曲をおこなっていたり、バックバンドとして参加したりという仲だったようです。

さて、針を落としてみますと。。。コミックバンドじゃないんですよね?もっとリアルにのリアルは「黒く塗られたアソコがきになる」なんですね。サビのもっともっとリアリティーは気になるけれど、ちょっとどういう客層を相手にしていたのかなぁとかおもっちゃう。
とはいえ挑戦的な歌詞だったり、きっちりロックだったり、この感じは「良い子」の雰囲気ではありませんからEpicらしいというか、他のレーベルからは出しにくかったかもなぁとは思ったりもします。この当時パンクもニューウェイブも新しすぎた。

もっとリアルに
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


B面はうって変わってエレクトリカルに挑戦的です。ちなみにファンクラブ「ELECTRIC」って名前だったんですかね?当時としては非常に長い4分10秒もある楽曲。ここで演奏のテクニック的な面を披露しているように思えます。面白いんですよ。

DIS-COMMUNICATION
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

DIS-COMMUNICATION
一風堂
2013/10/23 1536169630


土屋昌巳さんといえば、美乃家セントラル・ステイションにおられて、1977年に大橋純子さんのアルバム「クリスタル・シティー」(シングルにもなっている)のB面「DIS-COMMUNICATION」などの楽曲を提供しています。こちらを聞いても、1977年当時にこれはかなり新しかったんじゃないかなと思うのです。
FUNKY LITTLE QUEENIE 大橋純子 & 美乃家セントラル・ステイション
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

FUNKY LITTLE QUEENIE
大橋純子 & 美乃家セントラルステイション
2009/1/1 1443312145




1980年2月25日 ブレイクアウト・ジェネレーション (狂育世代)

2枚目のシングル、こちらもまた挑戦的ですね。「一旦停止は踏切だけだよ!」「毒を喰らわば皿まで皿まで!」1980年代初期はこの後ツッパリロックも流行る時代ですし、教育現場も荒廃、それ以前に生徒の数も多く彼らだけで「時代」を作っていくことができた。その学生たちに向けた曲を当然作っていくことになりましょう。

ブレイクアウト・ジェネレーション (狂育世代)
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


聞いた瞬間に「チャイニーズ・レゲエ」以外のタイトルが考えられないくらいチャイニーズなレゲエです(ワタシの語彙力のなさここに極まる)今は出せない楽曲だよね。多分中国のイメージが伝言ゲーム的な。1978年は日中平和友好条約が調印された年で、日本では堺正章さん夏目雅子さんのドラマ「西遊記」が放送開始され。翌年には配役を一部変えた「西遊記II」まで作られます。日本にとってこの時期中国がちょっとしたブームだったんですね。

チャイニーズ・レゲエ
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

チャイニーズ・レゲエ
一風堂
2013/10/23 1536169630



1980年9月21日 ミステリアス・ナイト

1980年に発表した2枚目のアルバム「REAL」は海外録音が敢行されました。それもドイツ、ベルリンでの録音というのは当時でもそれを行ったアーティストは少ないのではないでしょうか。この後の楽曲にどこか哀愁漂い、そしてさらなる「機械音」電子楽器の効果的な使い方のようなものが見えてくるように思います。
「ミステリアス・ナイト」は「チャイニーズ・レゲエ」から続くような「電子レゲエ」的な楽曲で面白いですね。

ミステリアス・ナイト
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


シングルB面にインスト曲を持ってくるのも、バンドとしての演奏力に自信があるからこそともいえるように思うのです。当方ベルリンには行ったことがありませんが、ベルリンで流れていそうな、当時でいうジャーマンロック的というか。

HEIDELBURG SYMPHONY
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

HEIDELBURG SYMPHONY
一風堂
2013/10/23 1536169521



ラジオ・ファンタジー
一風堂
2010/2/24 1536728308

1981年7月21日 ラジオ・ファンタジー

1981年に発売された3枚目のアルバム「RADIO FANTASY」。前作との差はバンドが3人編成になったことです。ジャケットにもボーカル、ギター、ベースとして土屋昌巳さんが、キーボードとして見岳章さんが、ドラムスとして藤井章司さんがクレジットされています。ギターとベースをやりながら歌うって訳にもいきません。
この編成が変わったことと関連するかはわかりませんが、ガラッとバンドが替わったなという印象があります。アルバムからのシングルカットという形ですが、アルバムが面白いんですよね。

ラジオ・ファンタジー
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


で、B面ですよ。見岳章さんが初めてシングルのクレジットに登場します。「川の流れのように」ですよ。ラジオを意識したアルバムの中で、電子的な部分とバイオリン的な弦楽器の対比感とか、面白い楽曲だなぁと思うんです。

MAGIC VOX
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳・見岳章
編曲 見岳章

MAGIC VOX
一風堂
2010/2/24 1536728308



ふたりのシーズン
一風堂
2010/2/24 1536169491

1981年12月31日 ふたりのシーズン

その「RADIO FANTASY」からの楽曲になります。ゾンビーズの楽曲であります「ふたりのシーズン」はエレキ強めで、どこかアジアンというか、異国の感じが素敵でございます。

ふたりのシーズン
作詞 Rod Argent
作曲 Rod Argent
編曲 土屋昌巳


土屋昌巳さんの詞も不思議な感じで、どうしたらこんな歌詞が浮かぶのかなぁと思っちゃう。この楽曲の長くない歌詞の行間にどんな内容が詰め込まれているんだろうな?って思うのです。「砂の島をリズムで包み込む」「砂の島の微熱を冷ますよ」やっぱりアルバムで通して聞きたくなっちゃう。

I NEED YOU
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

I NEED YOU
一風堂
2013/10/23 1536169491



1982年7月21日 すみれ September Love

そしてみんなが知ってるヒット曲だけど、ここまで聞いてこの楽曲だけが「ちょっと浮いている」ってのはわかって貰えそうな気がします。もちろん売れるには理由があって、それでいて素晴らしい楽曲でもある。でも、多分アルバムに含むのが難しい楽曲かなって思うんですね。
この楽曲が売れるのを見越してか、ベスト盤を発表。土屋昌巳さんはこの時期多忙で「一風堂」としての活動がほとんど行えていない中で、しかもキャンペーンソングとして決まっている中での楽曲制作とレコーディングとされます。ヒット中の10月はイギリスのバンド「JAPAN」のサポートメンバーとしてこの頃世界中を回っており、ザ・ベストテンもロンドンから中継で出演。そしてロンドン録音のソロアルバム「RICE MUSIC」も発表されます。

この楽曲、モノラルであるAMラジオで聞くと随分印象が変わるのですが、それも意図した上での制作であったと語っておりますので、そこまで計算ずくで、売れることもわかっていたと。すごい楽曲だなと改めて感じるのです。

すみれ September Love
作詞 竜真知子
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


そしてB面にインストを持ってくる。ラジオでもなかなかこの楽曲が取り上げられて演奏されることはないようにも思うのですが、これがまたいいんだ。今は「RADIO FANTASY」のボーナストラックとして配信されているけれど、当時はこのレコードにしか入っていない楽曲だったので、聞く機会は極端に少なかったと思うのです。

ルナティック・シャドウズ
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

ルナティック・シャドウズ
一風堂
2013/10/23 1536169491



アイ・ニード・ユー (Single Mix)
一風堂
2010/2/24 1536728308

1982年12月10日 アイ・ニード・ユー

「すみれ~」後の一風堂はそれ以前からそうであったようにライブ活動はできていませんし、楽曲制作といっても土屋昌巳さんは海外ツアー中。結果「RADIO FANTASY」からのシングルカット2曲でシングル発売しています。それにしてもジャケット土屋さんしか写っていないってのも、極端すぎますよねぇ。トップテンとか「すみれ~」では見岳さん藤井さんのみ登場して本人無しとか、今思うとすごいんだけど。

アイ・ニード・ユー
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


イミテーション・チャチャ
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

イミテーション・チャチャ
一風堂
2010/2/24 1536728308



アフリカン・ナイツ
一風堂
2010/2/24 1536728308

1983年4月21日 アフリカン・ナイツ

1983年になって、藤井章司さんが脱退して、土屋昌巳さん、見岳章さんの2名となった一風堂。その年に発売される「NIGHT MIRAGE」の先行シングルになります。当たり前のように「すみれ~」のような楽曲にはしないってことでもあるわけで。4枚目にしてラストアルバムである本作ではありますが、緻密というか「なんかすごい」とワタシのようなド素人にも言わしめるような説得力があるアルバムと思います。

アフリカン・ナイツ
作詞 仲畑貴志
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


僕の心に夏の雨
作詞 土屋昌巳・スティーブ ジャンセン
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

僕の心に夏の雨 (Single B-side Version)
一風堂
2010/2/24 1536728308



ドリーム・オブ・ザ・ジプシーズ
一風堂
2010/2/24 1536170241

1983年9月21日 ドリーム・オブ・ザ・ジプシーズ

「NIGHT MIRAGE」からの1曲がA面、B面は新録になろうかと思います。実質的にバンドとしての活動はできていないわけですが、「ファイル・ツアー」として回っており(札幌公演は雪で中止になったとの由)サポートメンバーを従えての「一風堂」としての活動は模索していたのかもしれません。しかし、その後を見ても個々の活動がメインになっていきますね。

ドリーム・オブ・ザ・ジプシーズ
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


Never Mind 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

Never Mind
一風堂
2013/10/23 1536170241



ムーンライト・マジック
一風堂
2010/2/24 1536170241

1984年4月1日 ムーンライト・マジック

最後のシングルであります。この楽曲は最後にもう一曲「すみれ~」的な楽曲を求められたのかしら。ちょっとキラキラ感があって個人的には好きなタイプ。夜中の車の中に忍ばせておきたいですね。B面はツアーからの音源になります。配信がないので当サイト的にはアルバムの楽曲を。

ムーンライト・マジック
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳


ロンリー・シーライオン
作詞 土屋昌巳
作曲 土屋昌巳
編曲 土屋昌巳

ロンリー・シーライオン
一風堂
2013/10/23 1536170241


夕やけニャンニャンで「つっちー」と呼ばれ「ツッチーホラーショー」なるコーナーを担当していた土屋昌巳さん、とんねるずの楽曲の多くを作編曲された見岳章さん、混沌とした中で偉ぶったようにも見えず、でもどこか存在感があって、バンド活動がその後のプロデューズ、楽曲制作活動に非常に大きな影響があったといえましょう。
そして、一風堂を見て育った世代がその後も挑戦的な楽曲を出し続けるのが今の音楽シーンに繋がっていく。

あと、一風堂の名の元になった渋谷のディスカウントストアは今も営業されていますし、そして、好きなバンドの名にちなんだというラーメン店の一風堂に関しては2019年にこんな記事が配信されています。

ラーメン「一風堂」とバンド「一風堂」が奇跡の対面 実は店名の由来も...
https://www.j-cast.com/2019/09/15367636.html

一風堂は半一発屋扱いされがちであるわけですが、やっぱりシングル頭から聞くと面白いなぁと思うのです。


配信リンク
今回紹介しました一風堂の各曲のSpotifyプレイリストを作ってみました。今回紹介していない楽曲も含めて、是非聴いてみてくださいね。



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