2023/10/12 歌謡曲が好き もくたま特集 桑江知子 80年代歌謡曲 楽曲紹介

桑江知子さんのシングル楽曲を聴いてみる


目次
  1. 1979年1月25日 私のハートはストップモーション
  2. 化粧品ついでに・・・
  3. 1979年5月21日 ブルーブルーアイランド
  4. 1979年9月10日 クリスタル・ハネムーン
  5. 1980年2月25日 永遠の朝
  6. 1980年7月25日 ハレーションドリーム
  7. 宇宙戦艦ヤマト「完結編」関係
  8. 桑江知子さんの現在

このシリーズは、意外と「自分の中で」人気のコンテンツになっています。1人のアーティストのデビューから(多分)最後のシングルリリースまで全ての曲を聴くというのは意図してやらなければなかなか行わないものではないかと思うのです。これはベスト盤とも違うんですね。

今回は桑江知子さんをご紹介します。デビューは1979年1月25日です。80年代の歌手とも70年代の歌手とも違う、この汽水域のような混ぜた感じがとても魅力的な時期でもあります。

アーティスト検索:桑江知子
https://www.thursdayonion.jp/search.php?aid=as7flPK7St81nhCabEkArg%3D%3D

そして、SMSレコードについても触れなければならないでしょう。SMSは「サウンズ・マーケッティング・システム」の略。渡辺プロダクションと音響メーカーであるトリオ、そして西武百貨店の三社が設立したレコード会社になります。事実上渡辺プロダクション直営レコード会社として、吉川晃司を世に出し、そして「ドリフの早口ことば」やエマニエル「シティ・コネクション」も世に出す。なんともごった煮感は素敵であります。

そのSMSレコードの新人第一弾アーティストが桑江知子さんで、デビュー曲の「私のハートはストップモーション」がスマッシュヒットするのです。

私のハートはストップモーション
桑江知子
1979/6/1 976438891

1979年1月25日 私のハートはストップモーション

タイトルを聞いただけで、ある年代の方は頭にこの曲の出だしサビが頭を過るはずなのです。そのぐらいキャッチーでインパクトとのある楽曲だったと思います。
なので歌えそう!ってカラオケに入れるとサビを過ぎると・・・ってなっちゃうタイプの楽曲ですね。でもきっと歌う人は気持ちいい楽曲です。

ポーラ化粧品の1979年春のキャンペーンとして大々的にCMキャンペーンが張られました。この1979年、化粧品業界ではちょっとした変革が起きています。ポーラ化粧品が比較的高額な化粧品を分割払いで購入できるクレジット制度が始まったのがこの年1979年です。このクレジット制度、その後各社が相次いで参入します。

しかし、これが伸びてきますと中途解約や返品などに問題が出ることになります。1984年に国は「健康食品・衛生用品・化粧品・印章」を割賦販売法の規制対象に加えることにします。
>これまでの非指定商品の中で消費者から苦情の多い順に一~四位を占めていた。
というからいただけません。クーリングオフ期間も当時の4日間から7日間に延長されたのがこのときです。(1988年に8日間に再延長され今に至る)

いずれにしてもこのCMキャンペーンと割賦販売でポーラ化粧品は大きく売上を伸ばすことになります。

そして桑江知子さんは日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得されます。この年の日本レコード大賞は「魅せられて」ジュディ・オングさん、最優秀歌唱賞は「おもいで酒」小林幸子さんでした。
https://www.jacompa.or.jp/record/21.php

私のハートはストップモーション
作詞 竜真知子
作曲 都倉俊一
編曲 萩田光雄


B面はB面らしいといえばらしいのだけど、最初は売り方を色々考えていたのかなって思うんですね。なんかカラオケスナックで歌うと「いい曲だねぇ〜」とお客さんに言われそうな楽曲ですね。これ、女性がやらかした結果なんだけど、でも夕方5時、6時とこの間一応考えている気持ちの揺らぎ。これぞ作詞家さんの真骨頂なのかもしれない。

たずねびと  
作詞 竜真知子
作曲 都倉俊一
編曲 萩田光雄

たずねびと
桑江知子
1979/6/1 976438891


化粧品ついでに・・・

日本の化粧品大手の国内売上シェアなのですが、ここ40年で随分変わりました。
1980年
1位 資生堂(38.9%)
2位 カネボウ(16.0%)
3位 ポーラ(10.8%)
4位 コーセー(6.5%)
5位 メナード(6.0%)
という順位になります。
2010年
1位 花王(16.4%)
2位 資生堂(14.7%)
3位 コーセー(6.4%)
4位 P&G(4.2%)
5位 ユニリーバ(3.0%)
と様変わりしました。ちなみに2010年のポーラは6位です。この順位は2019年では資生堂と花王が入れ替わり現在でも熾烈な争いがあると見えます。またポーラが5位につけます。
花王は2006年にカネボウ化粧品を買収し上位に躍り出ます。1980年代の各社春秋のキャンペーンとヒットソングが紐付いていく状況はあまり長くは続きませんでした。
ポーラなど訪問販売員が自宅などでお試しを行い商品を届けるスタイルはコロナ渦で苦戦しますが、それでも全体的な化粧品(くくりが大きすぎるのかもしれない)売上は上がっているといえるのかもしれません。その代わり各社寡占がなくなり海外勢も含めて手軽に化粧品類が購入できるようになったともいえましょう。



1979年5月21日 ブルーブルーアイランド

さて、そのファーストシングルがまだまだ売れている最中(というかザ・ベストテンのスポットライトに出演したのが1979年3月29日、最高位の15位を獲得したのが5月3日です)
こちらも頭サビの格好いい楽曲。なんというか、いいんですよ。夏だからなんでも明るければいい!ってわけではない、少し哀愁を湛えながらでもサビは明るく!こういう楽曲は最近どうしても少なくて、今聞くとすごく印象に残るんじゃないでしょうか。

作詞 竜真知子
作曲 都倉俊一
編曲 萩田光雄


B面も「あなたは夢を追いかけた、私は夢の一つ手前で折れた」なんてやっぱり作詞家さんじゃないと浮かばないですよ。この楽曲もB面らしいんだけど、誰かに歌ってもらえたらちょっと涙が出そうになるなぁって思うのです。

めぐる想い
作詞 竜真知子
作曲 都倉俊一
編曲 萩田光雄

めぐる想い
桑江知子
1979/6/1 976438891




1979年9月10日 クリスタル・ハネムーン

こちらもサビ頭の曲で、キラりん!って感じの音が夏っぽい感じ。もう少し早く発売した方がよかったんじゃない?って思っちゃうけど、歌詞のなかは秋だしなぁ。後藤次利さんの編曲が激しめでGood!
キャッチーなサウンドはもう少し売れてほしかったなぁって思います。タイアップが着きそうな感じの曲なんだけど、特に何も表記はないですね。

作詞 竜真知子
作曲 佐藤健
編曲 後藤次利


B面もキャッチーさは負けていなくて、A面候補だったんじゃないかな。別れの曲なのだけど、どこかカラッとしてきっちり歌謡曲しています。この時期の楽曲は70年代と80年代のどちらつかずで、少しアレンジが古めに感じるんだけど、やっぱり楽曲と桑江さんのボーカルがいいんで、聞いてて気持ち良くなるんですよね。

あいつの夢は一千光年
作詞 喜多條忠
作曲 水谷公生
編曲 佐藤準

あいつの夢は一千光年
桑江知子
1979/12/5 976468928


1980年2月25日 永遠の朝

エテルナ!エテルナよ!って、やっぱりエテルナは遠い昔の話。エテルナはイタリア語で永遠を意味する言葉でありますので、タイトルもそう読ませていますね。スイスの高級時計メーカーをイメージする方も多いかと思いますが、こちらは日本の車の話です。2代目三菱エテルナのCMソングとなりました。

ところで、エテルナってクルマの印象はちょっと薄いですね。三菱自動車は1978年に高級車、大衆車ブランドとしての「ギャラン店」と、若者向け販売チャネルとして「カープラザ店」に販売網を分離します。エテルナはギャランの姉妹車としてバッジや一部装備を変えて販売された車種になります。1990年代は世良公則さんがCMをしていたエテルナSAVAはなんとなく覚えています。カープラザ店といえばミラージュの印象ですが、2002年には販売網が統合されて姿を消します。


それにしても、Aメロから予想できないサビですよ。こんな難しい曲を歌いこなしてるのがすごい!レコードジャケットにも裏ジャケにもCMソング的なことが一切記載されていないのが少し不思議ですね。多分先にサビ部分ができて、あとから前をつけたようには見えるんだけど、これぞ編曲の妙というか、2番の入口のところとか、強引だけど違和感が少なく処理されていて、これは一聴してください!って楽曲です。

永遠の朝
作詞 岡田冨美子
作曲 都倉俊一
編曲 萩田光雄


そしてB面もおすすめ楽曲。ボーカルが通ってくる最初の部分が個人的には大好き。アレンジも80年代ようこそ的な感じなので、こちらも必聴よ。タイアップついてもいいんじゃないかなぁって楽曲です。今でもイケてるでしょ!

Hello Mr.Spring-辛く愛してー
作詞 岡田冨美子
作曲 都倉俊一
編曲 萩田光雄

Hello Mr.Spring-辛く愛してー
桑江知子
1980/3/13 976502582



ハレーションドリーム
桑江知子
1980/3/13 976502582

1980年7月25日 ハレーションドリーム

SMS時代最後のシングルなのですが、パンタさんの楽曲はやっぱりちょっと別格な、類似を見ない感じがします。夏っぽくて、そして少し色っぽい。「あーーーすてきよーーー」ですよ!めちゃめちゃ格好いいんで、こちらもおすすめです。やっぱり80年代新しい時代の幕開けって感じじゃないですか。

作詞 パンタ
作曲 パンタ
編曲 吉田建


ワタシ、この曲、今回初めて聞いたんだけど、今まで知らなかったワタシのバカ!何が師匠じゃ!って思うくらい衝撃的な楽曲。80年の7月ですよ。この時代にこの格好良さよ。ご本人の作詞、生田敬太郎といえばやっぱり70年代にCharさんや佐藤準さんと楽曲作られているわけで。格好いいよそりゃ!って思っちゃう。

20
作詞 桑江知子
作曲 生田敬太郎
編曲 生田敬太郎

20 シングルバージョン
桑江知子
1980/3/13 976502582


で、SMSとしてはこの5枚のシングルで終わるんですが、やっぱり聞いてほしいのはアルバムです。ファーストアルバム「ボーン・フリー」のど頭「ダンシング・イン・ザ・ワンダーランド」から度肝抜かれること請け合いです。

この項を書くときに裏ジャケットを見ることが多いのですが、ハレーションドリームの裏ジャケには
「私は時の流れに、ザラザラした手応えを感じて走り抜けたい‼︎ −桑江知子」という言葉があって、これが最後のシングルと思うと、何かの決意表明なのか、それとも、この楽曲に手応えを感じていたのかもなとも思います。
さらに、「あなたも桑江知子サウンド・プロジェクトに参加しませんか」という募集があり、まだまだ先SMSからの楽曲リリースも考えられていたんじゃないか?そんな気もします。

結果的にアルバム3枚、シングル5枚。どれも捨て曲がない!再度ちゃんと聞いてよかったなと思います。今更ですけどね。



宇宙戦艦ヤマト「完結編」関係
1983年に公開された宇宙戦艦ヤマト「完結編」の挿入歌として2曲が使用されています。
明日に架ける虹
作詞:阿久悠
作曲:井上大輔
編曲:トランザム
歌唱:トランザム・桑江知子
1983年1月25日発売 徳間ジャパン ANIMAGE ANS-2001 
(B面はインストルメンタルの「FIGHT!コスモタイガー」作曲:宮川泰 編曲:宮川泰)

配信がないのが残念ですが、こちらもサビ前の曲で、高橋伸明(高橋のぶ)さんのボーカルとのデュエットソング。元々トランザムは演奏に定評もあるし、映画自体は見ていないんだけど、どういうシーンで使われたんでしょうね。エンディングっぽい感じもしますが・・・

二つの愛
作詞 クニ河内
作曲 井上大輔
編曲 宮川泰
1983年1月25日発売 徳間ジャパン ANIMAGE ANS-2003
(B面「SEE YOU AGAIN」はユニセフ母と子のふれあい船の旅テーマソング) 
作詞 大西進
作曲 桑江知子
編曲 トランザム

「二つの愛」は桑江さんのボーカルの素晴らしさが伝わる楽曲ですね。不意に聞くと悲しくもなります。楽曲的に映画を見てみたくなるなぁ。(本当に全くストーリーも知らないんで、多分映画に感銘を受けてる方には何を言ってるんだこいつはと怒られそうですが。)

この2枚は配信が無く、なかなか聞く機会に恵まれません。


桑江知子さんの現在
90年代以降はソロ活動とロス・インディオスのボーカルもされており、別な機会にこちらも紹介したいと思いますね。
現在もライブ活動やラジオDJとしての活動をされている桑江知子さん。地元沖縄での活動が続いていることが嬉しいですね。


今までどうしても懐かしの~のようなテレビで「私のハートはストップモーション」イメージで取り上げられるだけという状況がありましょう。そういう意味では新たな発見ができるともいえます。SMS時代の楽曲は配信があり、アルバム3枚がボーナストラックとしてのシングル曲、カラオケも含めて配信されています。90年代楽曲もちゃんと聴きたいなぁ。

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