2023/05/08 歌謡曲が好き

ドライブデートのお供にカセットテープ


目次
  1. 「クルマ」と音楽
  2. 「クルマ」とデート

なんでしょう、前時代的な言葉を並べた感があります。
当サイト、楽曲紹介の項目があって、過去に当サイト管理者が某SNSで毎日のように書いていた楽曲紹介の内容をコピーしているのですが、まだまだたくさんコピーし忘れている項目がありまして、この連休中に約100項目程度コピーしました。そこで紹介している楽曲は1000曲くらいありましたので(内容はともかくね)まだ全てコピーが終わっておらず、某SNSがなくなるまえにやらなくてはと思ってはいるのですが。

そんな過去の紹介曲を見ていると、あーこの曲をカセットテープに録音して車で聞いたなって思い出すことがあります。当時は親の車で出かける際に家族で聞いた曲でもありますし、ある一定の年齢になりますと自分で車を運転しながら聞くっていうのが定番になりましょうか。

1980年代の「若者」的には、デートはドライブで、その車の中で聴く選曲が大事ってのもありますね。彼女に気に入って貰えるか、ここが選曲の腕の見せ所です。

「クルマ」と音楽

世界初のカーオーディオはモトローラ社が1930年(昭和5年)に発売したカーラジオだったそうですが、トランジスタも無い時代ですから、重く高価なオプションだったと言えましょう。日本のラジオ放送開始が1925年(大正14年)で翌年にNHK開局、戦後の1951年(昭和26年)には民間のAMラジオ放送が開始されます。

1960年代、首都圏では東海大学のFM放送実験が開始、1970年にこれがFM東京(tokyofm)に引き継がれる形で放送開始、1970年頃には全国的に民放AMが聞ける、そして大都市圏では音質の良いFM放送が聴けるようになることで、情報入手手段や音楽鑑賞用に「車内でラジオ」が当然の環境になっていくことになります。1963年(昭和38年)には純日本製のカーステレオが発売開始、多くの車が標準でAMラジオを、オプションで「カーステレオ」を選べ、規格化されたこともあり各社が社外品のカーステレオに参入していくことになります。

(現在はAM局もワイドFMとして音質の良いFM放送で受信できる)

ちなみにカーオーディオのサイズは国際規格のISO7736で定義されていますが、元になるドイツのDIN75490での定義を元にしていますので、今でも1DINとか言い方をしますね。パソコンなどの5.25インチメディア等の機器もこのサイズになります。ただ、昨今のクルマはこの規格をあまり重要視していません。

ラジオだけでなく、自分で購入した音楽を聞きたいという欲求も当然に出てきます。1960年代後半には8トラックテープを再生できるカーオーディオが発売されます。8トラックテープはエンドレスで「8」つの音声を録音できますからステレオなら4曲が再生できることになります。カーオーディオとしての採用は長く続かなかったものの、カラオケやバスの音声案内として長く使われることになります。

1970年代後半になるとコンパクトカセット(今通常カセットテープといわれるもの)の耐振動性や音質面の不満点が徐々にクリアされてカーステレオといえばカセットテープという時代が幕開けることになります。家庭ではダブルデッキラジカセなどカセットテープ同士で編集ができる機能をもつオーディオセットの普及、FM放送からカセットテープへの録音が簡便な状況ができますし、1980年代後半にはCDからカセットへの録音を簡便にする機能をもつCDラジカセの普及で「車内で聞く音楽」がどんどんアップグレードされていったという時代の流れです。

セダンのクルマの後部座席後ろに燦然と輝くスピーカーのメーカーロゴなんてのを見るのが当時の基本です。

くるまのニュース ライフ バブル時代は光るリアスピーカーがカッコ良かった! 昔とは違う現代のスピーカー事情とは
バブル時代は光るリアスピーカーがカッコ良かった! 昔とは違う現代のスピーカー事情とは
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音楽録音媒体としてのコンパクトカセットは熱に弱く、車内で長時間放置するとテープが伸びるなど再生に問題が起きることも多かった面があります。それでも多少雑な扱いを行っても壊れにくいなど、車内で音楽を聴くという事に関しては長く愛用されたと言えましょう。

1990年代になると車内音楽環境は多様化します。首都圏や大都市圏では2局目のFM局が開局、1988年のJ-wave、1989年のFM802に1993年にはノースウエーブ、クロスFM、ZIP-FM、そして民間FM放送の無かった地域にも開局が相次ぎ各地域で高音質な音楽放送が楽しめるようになったこと。テープの編集も楽ではなく、合間に交通情報なども流れるFM放送で「いいじゃないか」ってのもあったように思います。また、選曲が「歌謡曲」ではないだけにあまり知られていない格好良さというのも一つでしょうか。

1992年にMD(ミニディスク)が発売になり、カセットテープからの置き換えが期待されました。デジタル録音であり音質の劣化の無いMDはカーオーディオからも注目された媒体でした。しかし、これに待ったをかけたのが1992年に改正された著作権法による保証金制度でした。録音機器の購入、ブランクMDメディア購入で保証金が上乗せされることもあって機器の価格が高く、それでいて実際のビットレートが低いことでCDと同等の音質は得られない(SPモードで292kbpsのはずで、考えようによっては現在の音楽配信であるSpotifyの320kbitより低いとも言えます)という不満が出てこようとも思うわけです。もちろんコンパクトカセットよりは簡便であるという面はありましたが爆発的な普及には至りませんでした。

1989年にCD-Rが登場してこれまでの「曲順の編集」という作業から、アルバム丸まんまコピーという形に、理論上はCDからの音質劣化も無いはずですし、同じ時期クルマにもCDプレーヤつきのカーオーディオが普及しはじめますので、とりあえずクルマにはお気に入りのCDを持ち込んで、またはレンタルCD店舗から借りたCDをCD-Rに「私的にコピー」して持ち歩く、こんな感じになっていく。

さて、あくまで個人的にすごく気になっていた「車載音楽システム」がありました。2004年に開局した「モバHO!」です。通常、衛星からの電波で放送を受信するためにはそれなりの大きさのパラボラアンテナを正確に人工衛星に向ける必要がありますから、走行する車内での聴取はむずかしいものでした。モバHO!では小型の無指向性アンテナでの聴取ができるようになっており、テレビ、ラジオ放送が車内でも楽しめるという画期的な仕掛けでありました。また、都市部のビルの谷間などは電波再送信のための設備を持たせることで途切れにくい環境もつくったというものです。
実際MTVやMusic Japan TVなどCS放送される音楽チャンネルの視聴が可能で、ラジオ放送も「有線」的な24時間音楽チャンネルを提供していたというものです。

「モバHO!」3月末に終了 ワンセグに敗北
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/29/news045.html


2008年にサービスは終了。原因をワンセグとしていますが、それだけ特に「移動体」である車内音楽聴取環境が多様化されてきた。カーナビの普及もあってクルマに液晶画面があればそこにテレビの映像を映し出せるワンセグ放送(2006年開始)も含めた多様な競争に敗れたというか、有料のサービスがなかなか受け入れられなかったともいえましょうか。
ただし2010年頃から当初は受信料対象外としていたワンセグ端末も対象とし裁判でも確定したことから携帯電話でのワンセグ搭載端末は減少、現時点では1機種も発売されていないという「オワコン」となったのは残念なことでもありました。なお、受信料問題はカーナビの機能にテレビがあることについても同様の問題があり、今後はテレビ機能を排するカーナビ機器が一般的になっていくのかもしれません。

なぜ「カーナビ」でも「NHK契約」必要? 「テレビだけ」が契約対象じゃない放送法…「嫌なら見るな」は可能なのか
https://kuruma-news.jp/post/522669


(余談ですが、家庭にテレビがあり受信契約を行っている場合、携帯やカーナビでのテレビ受信に追加費用は不要ですが、法人などの契約では受信機1台あたりの受信料が必要なため社用車1台1台のカーナビでの受信料が必要であると解釈できます。あくまで企業側の担当者としてはテレビの受信ができないカーナビの発売を切に望みます)

カーナビの受信契約判決 トラック業界に波紋、新たな負担の恐れ
https://weekly-net.co.jp/news/46750/



車内オーディオの多曲化の最初は2001年のiPodの登場になろうかと思います。車載だけでなく音楽を持ち歩く、ウォークマンから始まった携帯音楽端末がCD・MDと媒体を変え、HDDやメモリーを搭載して1日で聞き終わらないほどの容量を持ち歩けるようになった、そして著作権法による保証金制度はこのHDDやメモリーオーディオに関してはそれを徴収できないとされ現在のところ無償となっています。ただし見直しの議論はあるようです。

「iPod課金」は妥当なの?「年額40億円」求め再燃する“私的録音補償金制度”議論を問う
https://www.businessinsider.jp/post-188505

ともかく、家にある全てのCDを飲み込むことができるほどの容量をもつiPodの誕生と、楽曲を購入し、それがすぐに聞くことができるiPhoneの仕掛け、そして定額サブスクリプションサービスの台頭で、もはや物理的になにかをクルマに積んでおくという必要性自体が乏しいものになってきているのも確かでしょう。今や多くの車内オーディオは無線で携帯電話と繋がることで音楽を再生できますし、ラジオ自体もRadikoなどで過去に遡って聞くことができる、環境さえ許せばネットラジオやYoutubeなど動画も再生できます。




ワンBOXのオーナー
DANCE☆MAN
1998/11/18

「クルマ」とデート

デートに車が使われる大きな要因は、とりあえず「二人の世界」になることでしょう。ここで話している内容は誰も聞くことはありませんし、一定の「個室」であるクルマはデートに最適と言えましょう。どこに行くでもなく、ただ車を走らせているだけ。それでも流れる景色から会話も弾むというものです。

そこで必要なのが音楽。どのような音楽を聴くのか?相手との接点を探すのも音楽的趣味が合うことも大事なことでしょう。接点が多ければ多いほどデートは盛り上がるものです。
なので、カセットテープに何を加えるのか、大事なことです。「ワタシ聖子ちゃんより明菜がいいんだよね」なんて主張してくれる子ばかりではありません。彼女が何を欲しているのか、たまにはあまり聞きたくない男性アイドルも加えなければならなかったかもしれません。

そして夕闇とともに~とうまくいきますかどうか。それは選曲にかかっていますよ!お兄さん!


1968年に1千万台を突破した日本の自動車の登録数(二輪や営業車も含む)は1982年に4千万台を突破、そして2022年現在8千万台を突破しています。クルマが特別なものではなくなって、女性ドライバーも増えて、今や女性の運転で助手席にお兄ちゃんというパターンも特段珍しいものではありません。クルマがステイタスだった時代は過ぎ去って、今やドライブデートなんて死語のようなものであります。
むしろ二人きりの時間がちょっと居心地が悪い、下心見え見えなのが嫌というそんな時代です。

最近配信になったダンス☆マン。今となっては「ワンボックスのオーナー」は時代の先取りです。しっかし「うーうーうーうーうーうー運転手!」って歌詞はすごい。原曲と一緒にどうぞ。

That's the Way (I Like It)
K.C.&ザ・サンシャイン・バンド
1975/1/1


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