2023/04/17 歌謡曲が好き 中森明菜 80年代歌謡曲 楽曲紹介

中森明菜さんのアルバム「ANNIVERSARY」を聞いて震えた午後


目次
    1. 1「アサイラム」 作詞:三浦徳子 作曲:玉置浩二 編曲:瀬尾一三
    2. 2「まぶしい二人で」 作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお 編曲:若草恵
    3. 3「Easy」 作詞:尾崎亜美 作曲:尾崎亜美 編曲:瀬尾一三
    4. 4「夢を見させて…」 作詞:中森明菜 作曲:J.Smith 編曲:若草恵
    5. 5「北ウイング」 作詞:康珍化 作曲:林哲司 編曲:林哲司
    6. 6「100℃バカンス」 作詞:売野雅勇 作曲:細野晴臣 編曲:瀬尾一三
    7. 7「夏はざま」 作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお 編曲:瀬尾一三
    8. 8「メランコリー・フェスタ」 作詞:来生えつこ 作曲:佐瀬寿一 編曲:萩田光雄
    9. 9「バレリーナ」 作詞:尾崎亜美 作曲:尾崎亜美 編曲:若草恵
    10. 10「シャット・アウト」 作詞:有川正沙子 作曲:国安わたる 編曲:若草恵
  1. さいごに

北海道は早く来た春にもう一回冬将軍が猛威を振るって少し寒い週末を迎えていました。
先日も書いたとおり、当サイト管理者、また自分の中で中森明菜さんが大流行状態になっておりまして、一人で車を運転しながら当時は考えられないような、細かな楽器の音色も再生できる音響(とはいえクルマなので限度はある、比較対象は子供の頃持っていた赤いダブルデッキラジカセである)で彼女のアルバムを次々再生するのです。

その中でとても気に入ったアルバムが、この「ANNIVERSARY」というアルバムです。

1984年5月1日に発売した中森明菜さんのデビュー3周年目を記念したアルバムとなり、スタジオアルバムとしては5枚目になります。

まず、ジャケットが良い!中森明菜さんはどうしても大人イメージだったり、その前のアルバム「NEW AKINA エトランゼ」ではポスト山口百恵さん的な意味も感じながら曲を聴いて、これはこれで良いアルバムなのだけど、この「ANNIVERSARY」が南国な感じで、そして、アルバムだからこその楽曲とも思える。言葉にするのは難しいけれど、本人も楽しそうに歌ってるんじゃないかな?って思わせるアルバムになっています。

1「アサイラム」 作詞:三浦徳子 作曲:玉置浩二 編曲:瀬尾一三

のっけから、いや、南国の怪しい感じというか、玉置浩二さんのイメージにちょっと違うのが、やはりこの方ただ者じゃない感があります。この一曲でアルバムの中に引き込まれた感じがいたしまして、そして伸びやかで自信を持って歌っておられる中森明菜さんの魅力を存分に感じることのできる楽曲ではないでしょうか。

2「まぶしい二人で」 作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお 編曲:若草恵

タイトルとちょっと不釣り合いなまぶしくない感じですが、でもこの曲もしっとり良い感じです。いきなり2曲目で大人だよ。大人な感じなのよ。
本当にベッド(なのかソファなのか)二人でその場にいることの幸せ感を存分に感じることができて、いや幸せじゃねぇかヒューとか言いたくなっちゃうバラードです。

3「Easy」 作詞:尾崎亜美 作曲:尾崎亜美 編曲:瀬尾一三

尾崎亜美さんはこのアルバムではじめて中森明菜さんに書いていますが、#9のバレリーナと随分印象が違います。ちょっとハードな感じは中森明菜さんらしいといえばらしいんだけど、そのなかでも女性らしいというか、儚げな感じが素敵すぎて。なんだろうなぁ、中森明菜さんの前では嘘をつけない。そんな気がします。

4「夢を見させて…」 作詞:中森明菜 作曲:J.Smith 編曲:若草恵

ご本人の作詞で、バラードの中少し可愛らしい一面を出します。謎のJ.Smith氏が気になりますが、どういう感じでスタジオで歌っていたんでしょうか。曲調よりも声が明るい感じで、私、こういう感じ好きですね。
自身の気持ちが歌詞に反映しているのであれば、でも、それをわかった上で笑顔だったのかな?今となっては知る由もありませんが、このアルバムの肝な曲かもしれません。

5「北ウイング」 作詞:康珍化 作曲:林哲司 編曲:林哲司

私、多分中森明菜さんのシングル曲でこの北ウイングが一番好き。このアルバム、最初にこの曲を持ってくること無く、もう南国についたところからスタートしますから、この曲は、夜に寝息をたてる「彼」の横で、様々な気持ちがぐるぐるしている、結局何もかも捨ててきてしまったという、少しの後悔をアルバムA面の最後に持ってきた感じがします。

雨の国道を走って、ちょうどあった駐車帯に車を止めて「B面」にひっくり返すが如く、ここまでの5曲、やっぱりいいなぁ。北ウイング好きだなぁとか思いながらおもむろに再生ボタンを押します。

6「100℃バカンス」 作詞:売野雅勇 作曲:細野晴臣 編曲:瀬尾一三

このアルバムで一番聞いて欲しいのが、この曲ですよ、ジリジリギリギリ夏です、南国です。A面のこと忘れてくださいよ、楽しみましょうよという感じがあります。「禁句」の細野晴臣さんがどういう感じの依頼で書いたのかはわかりませんが、明菜さんのアイドルっぽい曲は貴重で、この曲だけでもこのアルバムを再生した意味があるってもんです。

7「夏はざま」 作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお 編曲:瀬尾一三

でも、たのしーだけではやっぱり終わらなくて、夏はざまなんだけど、少しもの悲しいこの曲が出てきます。この不安な気持ちを歌う明菜さんは、本当に切なそうで、聞いている自分がその立場ではないのに、ちょっと涙ぐむほどであります。感情の起伏が大きいアルバムなので、自分の精神状況が明るい時期だったり、車運転しながらとか、そのほうがいいのかもしれないな。

8「メランコリー・フェスタ」 作詞:来生えつこ 作曲:佐瀬寿一 編曲:萩田光雄

そして強い明菜さん、この振り幅が本当に大きくて、でも、その中で本心じゃない強がりってのが本当によくわかる。周りの大人が中森明菜さんをどうアーティストボーカリストとして育てていこうとしているのか。本当はもっとたくさん収録候補曲があるんだろうなぁとか思ったりしちゃう。そして中森明菜さんは大人。大人になった今聞くと、子供の頃には考えもしなかったことが見える。あと30年後にも聞いたらまた別な印象を持つのかな。

9「バレリーナ」 作詞:尾崎亜美 作曲:尾崎亜美 編曲:若草恵

明菜さんの真骨頂はこういう楽曲。そして作家陣的に尾崎亜美さんの振り幅も大きくて、そして悲しい曲なんだけど力強い。誰もが中森明菜さんの虜になっちゃうのは、歌詞の意味をかみしめながら、自身で解釈してる(と思われる)各楽曲の歌い方だったりを聞き分けられる、きっと、当時ももう少しいい音源で聞いたら印象違ったのかなぁ。

10「シャット・アウト」 作詞:有川正沙子 作曲:国安わたる 編曲:若草恵

南の島から帰ってきたあとなのか、物理的な鍵だけでなく、彼氏の「鍵」が役に立たないとします。開けてしまったら元の木阿弥、私は初めて聞いたとき、最後に明菜さんは開けちゃうんだろうなって思ったんです。でも開けなかった。そこに心の強さを感じるのです。もちろん楽曲ですから作家陣の考えです。でも彼らとしてもここで「開けない」明菜さんを思った。もう一押しで開けるかもしれないけど、でも開けないまま曲を終わらせた。

さいごに
交通量の少ない雨の国道。聞き終わって、私はもう一度車を止めて、ちょっとのあいだハンドルを持つ手を離せなかった。配信アプリの設定はアルバム再生終了後停止するようにしています。無音でときどき雨を弾きながらクルマが走り去る音を聞きながら、少し震えて、いや、このアルバムはすごい。再確認しました。

そしておもむろに次のアルバム「POSSIBILITY」を再生します。肩を出した色気のある明菜さんのジャケットを見ながら「サザン・ウインド」が聞こえてくる、今、私の中で、明菜さんはブーム。前回の記事に書きました映画館でのライブ映像、とても楽しみにしています。
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