2021/11/15 歌謡曲が好き 80年代歌謡曲 中森明菜

ロリコンなオッサンと中森明菜さんの「少女A」



たまたま今日、ざっとニュースを読んでいますとこんな記事が出てきたんですね。いやぁ。気持ち悪いですねぇ。

JR列車内で女子学生の隣に座り"下半身露出"…帰宅後家族から通報 35歳男逮捕 乗車前に付きまといも
2021年11月15日 UHB
https://www.uhb.jp/news/single.html?id=24390
> JRの列車内で座席に座り下半身を露出したとして、35歳の男が逮捕されました。  公然わいせつの疑いで逮捕されたのは、北海道厚沢部町に住む会社員の35歳の男です。
>  警察によりますと、男は美唄駅から乗車し、先に乗っていた10代の女子学生の隣に座り下半身を露出し、目撃した女子学生から帰宅後に相談を受けた家族が最寄りの警察署に通報し事件が発覚。その後の捜査で男の容疑が浮上し、約2か月後の11月14日に逮捕しました。

厚沢部って、まぁまぁ遠いですよ。そこから美唄まで。距離感でいいますと300km5時間以上はかかります。何してるんだオッサン!なんですよ。


さて、こんな記事を読みながら、昔のベストテンをチェックしていますと中森明菜さんの「少女A」が出てきます。
1982年7月28日に発売された中森明菜さんの2枚目のシングルです。


中森明菜さんが17歳の誕生日を迎えた直後にリリースされたこの曲は、まずタイトルが衝撃的でした。「少女A」という表現は最近のニュースではあまり聞きませんが、当時は少年少女犯罪の本名を出せないニュースにおいては、○○の容疑で「少女A」17歳を補導って感じで読まれます。どれだけ社会を震撼させるニュースがあっても、誰もが「A」は誰なのかわからずに終わるのです。

ついこの前までキれる少年とか騒いでいましたが、現在、少年犯罪は減少の一途をたどっています。単純な子供の数が少ないという面もありますが、検挙人数も人口比で見ても恐ろしく減っているわけでございます。したり顔で「少年犯罪が増えた」という明らかなデマを飛ばしてる方に要注意です。現在は犯罪数も交通事故も大きく減った平和な世の中なんですね。

逆に言いますと1980年代の社会は「非行」がものすごく多かったというのもあります。そして、普通の子、真面目な子とされる子供の事件も少なくありませんでした。1980年の金属バット両親殺害事件なんかは覚えている方も多いでしょう。また、俗に不良と呼ばれる少年が起こした横浜浮浪者襲撃殺人事件も、根底は差別意識のなせるものでありましょう。

そんな時代に「特別じゃない」「どこにもいる」少女の姿として中森明菜さんは歌うわけです。

年上である男に対して、「それ」を強請る。そして自身はまだそのような経験が無いことも示唆しています。悪そうにしているけど、実際には「他人が言うほどドライじゃない」とも言います。大人の男性への憧れとかも感じる歌詞になっています。

でも、でもですよ。大人の男性がどの程度の年齢かはともかく(少なくとも年齢の近い感じは歌詞から得られない)どちらかと言えばあどけない少女に対して躊躇している様がありありと見えます。この当時はともかく、今でしたら当たり前ですが、それが明るみにあれば社会的に抹殺されてしまいます。ロリコンオッサンは絶対に年甲斐も行かない女性に手を出してはいけないのです。

作詞家の売野雅勇氏はこの曲について「ストックと言えるものは、沢田研二に書いてボツになった1曲だけ。男性がプールサイドで10代の女の子を口説こうとしている設定の『ロリータ』という曲でした。」と書いています。この立場を逆にしたのが「少女A」のプロットだったのですね。

そしてその曲を中森明菜さんは激しく拒否したというエピソードもあります。ジャケット写真もわざと少しふてくされたような表情の写真を使っています。そして、この「正直な」演出がウケたとも思うのです。

テレビに求められるものが、演出なのかヤラセなのかという中で「正直」でなければならないとされて、正直なランキングであったザ・ベストテンが人気を博し、そして自分の我を貫くような中森明菜さんに「正直」を見いだした。そんな感じもするのです。

実際「少女A」はオリコン5位、ザ・ベストテン3位を獲得、年間ランキングにも顔を出すヒットになりました。そして、サードシングル「セカンド・ラブ」でがらっと印象を変え、幅の広いボーカリストぶりを見せ1位を獲得。その後もヒットを連発しベストテンの女王という称号を得ることになります。

セカンド・ラブ
中森明菜
1982/11/10



年甲斐の行かないアイドルにきわどい歌詞を歌わせる。それが今まで続いています。アイドルの世界を多くは「オッサン」が作っていることもありますが、客層も「オッサン」。自分もアイドルのライブに行かないでもありませんし、彼女たちの笑顔に癒やされますが、そこの線引きはちゃんとしないとなぁ。

少女A
中森明菜
1982/7/28

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