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夏も終わりだけど、ラ・ムー「THANKS GIVING」を聞いて涼しくなってみよう


2021/09/21  ラ・ムー 菊池桃子 80年代歌謡曲 楽曲紹介

目次
  1. 菊池桃子さんと格好いい「歌謡曲」
  2. 菊池桃子さんと格好いい「バンド」

この項、先月のこの時期に書こうと温めていた企画だったのですが、ちょっと個人的にバタバタしてしまって、もう北海道は秋の気配ですよ。ラ・ムーで涼しくってより、寒くなっちゃいそう。

でも、個人的に本当にRAMUは軽く流しておくのに好きな楽曲が多くて、いつかちゃんと紹介したいなと思っていたんですね。
今年、Spotifyなどで菊池桃子さんとRAMUも含めた全曲が配信になっており、今は手軽に楽曲を楽しめます。今が機会だ!と思ったんですね。

まず一曲聞いて欲しいのが
●Silent Summer Sea
作詞:風見律子 作曲:かまやつひろし 編曲:船山基紀

すーっと熱帯夜に風が吹いてきた感じがしませんか?で、かまやつひろしさんですよ。えっ?って感じがいたしましょうか。


Silent Summer Sea
RA MU
1988/7/21

Nile in Blue
菊池桃子
1987/7/29

菊池桃子さんと格好いい「歌謡曲」


歌手としては1984年に「青春のいじわる」でデビューした菊池桃子さん。キャッチフレーズは「It's Real Fresh 1000%」ですが、あまり印象にはありません。
とかく可愛らしい清純派、制服が似合うという印象で、残念ながら歌は恐ろしくウィスパーで、決して上手とは言えませんでした。それでも12枚のシングルを世に出し、7枚が1位を獲得していますから素晴らしい成績であります。80年代後半のトップアイドルでしたし、彼女のラジオ番組は在京3局でほぼ毎日ありましたので「桃子とすこし夜ふかし」とか「菊池桃子あなたと星の上で」「青春トライアングル」なんかはよく聞いた記憶でございます。
当地は土曜日が青春トライアングルで、日曜日があなたと星の上でだったかな。地元ラジオなのに綺麗に入らないので、雑音の中で聞いた「星に願いを」を覚えております。

さて、菊池桃子さんは落ち着いた、振り付けの大きくない曲が多くて、そういう意味でもどこか「イージーリスニング」的な印象がございます。彼女のウィスパーな声は疲れないので、夜寝る前とかに聞くとすーっと眠れるような。そんな感じなんですね。
特にソロ後期の「Nile in Blue」(1987年)

や「ガラスの草原」(1987年)

ガラスの草原
菊池桃子
1987/10/8

はお気に入りですし、彼女のアルバムは難しいながらも魅力的な、今なら「シティポップ」ともてはやされるであろう曲が何曲もあるんです。明らかに彼女の歌唱力では難しい曲が入っています。しかし、それをあの声で歌ってくれるんですね。これがいいのですよ。

そして、彼女のアルバム、ジャケが格好いいんですよ。

Ocean Side
菊池桃子
1984/9/10

デビューアルバムのOcean Sideのジャケットは、水に浮いている水着の桃子さんと思いますが、オシャレなジャケットですよね。このジャケットなら12インチの大きさで飾っておきたい感じです。

カレンダーにイニシャル
菊池桃子
1985/9/10

セカンドアルバムは1曲目が「卒業」なんですが、このジャケットは飛行機好きな私が見ても格好いい。桃子さん操縦してますね。操縦ライセンスをもっているという話は聞いたことがありませんが、日航機事故と同時期ですので、もしかすると社内に異論はあったかもしれません。このジャケットも素敵。

Adventure
菊池桃子
1986/6/25

また水に入っていますが、やっぱりそのお姿がただ笑顔のアイドルのアルバムじゃないんですよね。個人的に菊池桃子さんのアルバムでは一番好きで、今でも通しで聞いてしまう1枚です。

Starlight Movement
菊池桃子
1987/5/27

何故急にこのジャケット?なんですね。熱気球が飛んでいますから、その1機に乗っていらっしゃる体ではないかと思うのですが、のんびりした感じですがアルバムタイトル「ESCAPE FROM DIMENSION」直訳したら次元からの脱出?異次元いっちゃうの?シングル曲の「Say Yes!」が入っていますが、その曲だけ明らかに異次元です。テクノポップ歌謡って感じで、このアルバムもなんかいい感じです。

ここまでの菊池桃子さんアルバム曲。だまされたと思って、是非暑く寝苦しい夜に聞いて欲しいなと思います。まだ本州は暑い日もあるでしょうから間に合いましょうか。でも、もっと先ですよ。ソロから「アイドルでいることに違和感を覚えていた」バンドへの移行は、意外性を持って報道されることになります。


愛は心の仕事です
RA MU
1988/2/24

菊池桃子さんと格好いい「バンド」


バンドとはいいますが、RAMUはコーラスの入った7人編成という大所帯でした。特にコーラスのお二人は正直驚くほかありませんでした。
ちなみにメンバーは
・菊池桃子(Vocal)
・松浦義和(Keyboards)
・中西望(Drums)
・勝守理(Guitar)
・吉岡誠司 (Bass)
・ロザリル・キール(Chorus)
・ダレル・ホールデン(Chorus)

ロックバンドか?と言われたら、特にシングル4枚に関しては歌詞はロック、楽曲はファンクやR&B、そしてボーカルはウィスパー。そして、格好は・・・奇抜。楽曲は格好良いのだけど、やはりあまりにも奇抜なのと、桃子さん、ここにどれだけ関わっていたのかな?という感じがあります。


3枚目のシングル「TOKYO野蛮人」は個人的には好きですが、残念ながらオリコン最高位は8位と振るわず、あらー、桃子さんやっちまったなぁという印象が周りに出てきてしまったのもあります。前2枚はザ・ベストテンにもランクインしたのですが、この作品は残念ながらほぼテレビでは歌っていないのではないでしょうか。
時は流れてアイドルポップスがなかなか売れにくい時代でもありますし、歌番組も斜陽化してきています。ヒットスタジオもベストテンもトップテンも模索を続けていた時期です。


前置きが長くなりました。そんななかで発売したファーストアルバムが「THANKS GIVING」です。「感謝祭」ですよ。ファンはこのタイトルから、解散を色濃く感じていたと思うし、制作陣はどう思っていたかわかりませんが、もうRAMUが長くないことは悟っていたのかもしれません。しかし、このアルバムが、いいんですよ。決してロックアルバムではありませんが、アイドルのアルバムではありません。これは菊池桃子さんのアルバム全体にも言えますが。

1「Rainy Night Lady」作詞:田口俊 作曲:和泉常寛 編曲:新川博

Rainy Night Lady
RA MU
1988/9/14

1980年代の終わりに、この歌詞はすごい。やっぱり80年代後半は女性が力強く自身で生きていくことを選ぶことが徐々に可能な世の中になったことを実感します。もう迷わず、聞いている人を鼓舞していく。それもロックなのかもしれません。

2「Carnaval」作詞:田口俊 作曲:松浦義和 編曲:松浦義和

Carnaval
RA MU
1988/9/14

桃子さんのアイドル後期の活動は国際的な面があります。国連国際居住年親善大使としての活動もあり、海外での取材活動もこなしていた面がこの曲を生んだのかもしれません。「神の気まぐれ」は生きていれば誰しも感じる。そうか、生きるってのは奇跡だなぁなんて思ったり。

3「夏と秋のGood-Luck」作詞:麻生圭子 作曲:新川博 編曲:新川博

夏と秋のGood-Luck
RA MU
1988/9/14

急にアイドルらしい、別の女の子と歩く彼的な曲。でも、この曲いいよね。車はしらせて聞きたい。

4「Two Years After」作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博

Two Years After
RA MU
1988/9/14

あーーあり得ない展開なんだけど、こういうことがあったらいいなぁと思う、昔好きだった人とばったり会ったシチュエーション。ラガーシャツじゃなく「ラグビーのジャージ」は試合を見てただけの女の子じゃないことを悟ります。

5「少年は天使を殺す」作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博

少年は天使を殺す
RA MU
1988/6/8

そして、シングル曲でA面が終わります。アルバム内のどこにシングル曲を入れるかは迷うところです。でも、ゴキゲンなナンバーってのが当てはまる感じよね。お疲れ!って言われても。

6「One And Only」作詞:麻生圭子 作曲:杉山清貴 編曲:新川博

One And Only
RA MU
1988/9/14

杉山清貴さんの曲は「都会」ですね。夜の渋滞のない中ビル街を走るような。首都高のイメージ。そして車は海に向かうんです。防波堤に車停めて、波間の明かりを見ながらいい感じになる。くぅー!

7「TOKYO野蛮人」作詞:康珍化 作曲:和泉常寛 編曲:新川博

TOKYO野蛮人
RA MU
1988/7/21

3枚目のシングルをここにもってきました。擬音が頭から離れません。ハートがキュッキュダンスがキュキュ!ほうらもう頭から離れない。

8「片思い同盟」作詞:田口俊 作曲:新川博 編曲:新川博

片想い同盟
RA MU
1988/6/8

「少年は天使を殺す」のB面曲。こちらは2人の女性がなんやかんやいいながら飲んでるイメージ。でもウーロン茶なのがご愛敬。コーラスが心地よくて、あら、RAMUいいじゃない!って思って欲しいなぁ。でも悩みは捨てましょあなたは自由よって宗教じみてる風も。あと、どっかで聞いたことある感。

9「Late Night Heartache」作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博

Late Night Heartache
RA MU
1988/9/14

菊池桃子さんのソロ楽曲の最後の方にあってもよかったような楽曲。バンドじゃなくてもいいかなぁ。でも、なんか素敵よ。これも車で聞いたら気持ちいいと思うし、もっともシティポップ感があるとも。今聞いてもいい。

10「Love Talk」作詞:菊池桃子・藤田浩一 作曲:和泉常寛 編曲:新川博

Love Talk
RA MU
1988/9/14

アルバム最後の曲は桃子さんも作詞に加わっています。桃子さんのその後の結婚、出産、そして再婚なんかを考えると、独身の頃思っていたような恋愛はできたのかとか、この時期桃子さんには素敵な人がいたのかなとか、ちょっと思う曲です。

そして、このあと、最後のシングル曲「青山Killer物語」を発表。

青山Killer物語
RA MU
1989/2/8

RAMUはフェードアウト的に解散宣言することなくなくなってしまいます。
1990年代まで生きていたら、久保田利伸さんなど、このタイプの楽曲はもしかするともう少し評価されていたかもしれません。

ただ、今聞いても、少し涼しげな桃子さんのボーカルは唯一無二で、やっぱり夏の暑い日に聞きながら眠ってしまうのです。決して歌は上手ではなかったし、声量もない。でも、それを存分に生かしたプロデュース力も含めて、今桃子さんの楽曲が見直されているのも納得です。

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