本当に大好きだった店「ザ☆ベストテン」
私がこちらのお店を訪問したのは2018年の8月の終わりだったかと思います。それ以前から気になっていた店であって、一度行かなきゃとは思っていたんですが、なかなか勇気が出ず(これはすすきののお店に新規で行くってのは結構ハードル高いんですよ。紹介があっていくならともかくね)同僚氏を誘ってお伺いしたわけです。
「やべぇ店だわ!」これが私の最初の感想です。もちろんこの「やべぇ」はダメな意味ではなく、自分にとって「見つけてしまった」という意味です。壁一面に貼られたポスターやレコード、そしてカラオケはなく、2面ある大型の画面に再生される懐かしの歌番組の画像(私はいままでこの店の特徴であるこの過去の歌番組の画像の件はボカシて書いていたのは、その形態で営業するのは本来行ってはいけないことだからです)を見ながらお酒が飲める。しかも安い。
最初に思ったのは「儲かってないよなぁこの店」です。仕事柄どうしても金銭計算が頭を離れませんで、店の規模と立地から家賃を、そして店の席数と回転から1日の営業単価を考えてしまいます。どう考えてもママさん一人で営業するにしてもほぼ「儲かる」状態にはならないだろうなというのが最初の印象です。最初に行った日も木曜日だったこともあったかと思いますが、お客さんは少なく、もちろん非常に楽しめましたが、こういう形態の店を残していくのは難しいだろうなとも最初の訪問で思ったわけです。
次の日に、私は一人でお店に行くことになります。家ではほぼ全く飲まない、会社などの飲み会も基本一次会で帰る私が連日飲みに行くなんて本当に珍しいことです。やはり金曜日ですが、お客さんは少なく、でも「ああ、この場所好きだな」は再確認できたというのもあります。逆にママさんもヤバイ客来たと思ったかもしれませんね。「歌謡曲バー」の客層は基本的に「おっさん」そこに美人で本当に不思議なタイプのママさんがおられる店。もちろん「ママさん」を目当てのお客さんも少なくないでしょう。でも、それ以上に私は店の雰囲気に魅了されました。恐ろしく居心地がいいのです。特別なお酒や特別なおつまみが出るわけでもありません。でも、ここは、下手をすると自分の家よりも落ち着く空間かもしれません。今も店でお会いすればよくお話しする常連氏、最初にお見かけしたときは、カウンターの片隅でウトウト寝始めました。えっ?寝てる?バーで?ママさんに聞けば「いつもこんな感じでちゃんと閉店までには起きるんで」どんな店だ?と改めて驚いた次第。どれだけ居心地がいいんだろう?そして、こんな「普通じゃない」店にすごく魅力を感じたのが大きいのだと思います。
毎週とまでは言いませんが、それなりの頻度でお店に通ったのは、もちろん、いろいろな過去映像で楽しむというのもありましたが、基本的にはこの居心地の良さ、無理にお酒を勧められるでもなく、今日お客さんいないので来てくださいと営業かけられるでもなく、自分の飲むスタイルを尊重してくれ、話を聞くのがとても上手なママさんの人徳そのものでありましょう。
数か月もすれば、歌謡曲マニア的に勝手にザ・ベストテンの過去ランキングをファイルにしてお店に置かせてもらって、なんか、常連面している私もいて、本心から、ここはなくしてほしくないと思うわけです。ママさんからは何度も店をやめる話は出ていたんです。それをいや、今やめないでと言い続ける私がいたわけです。