2019/07/26 歌謡曲バー 歌謡曲が好き

歌謡曲バーでしみじみと思う昔の芸能界のこと



(2020年7月1日追記:残念ではありますが、本記事で触れておりますすすきの昭和歌謡曲バー「ザ☆ベストテン」さんは、2020年6月に閉店されました)

1970年代から80年代の日本の芸能界というのは、本当に一部の限られた人しかなることができなくて、それがスカウトだったり、スター誕生だったりという「求められる芸能人の多様化」で裾野が広がったという面があります。

そして70年代、80年代の歌番組を見て、あの頃は良かったなぁとか、やっぱり歌手は歌がうまい人がなるんだなぁなんて話をしながら見ているわけですが、彼ら彼女らも芸能界の掟としてある程度事務所とメディアの関係性があって出てきているわけで、歌がうまければ世に出られるという時代でも無かったわけです。その中で芸能人としてのスキルを備えた人を見て「あの頃は~」と見てるんだなと思ったりします。

昨今、芸能事務所と芸能人、そしてメディアの関係が表沙汰になって様々な批判だったり、様々な憶測などでネット界も混沌としているわけですが、逆にテレビの歌番組と芸能事務所、芸能人が本気で作っていた歌番組はやっぱり見応えがあって、当時の状況を推測しながら知らぬ方と「あったあった!」なんて笑い合いながら飲むお酒の本当に美味しく、本当に楽しい時間。これこそが歌謡曲バーの醍醐味だったりもするわけですね。

芸能界の裾野が広がったことで、どうしても質の悪い芸能人も一定出てきてしまう。吉本興業だけで6000人と言われる所属芸人が全て面白く、全て将来売れるなんて事は無いわけで、ただ、彼らとて売れるにはチャンスが必要で、そのチャンスを芸能事務所として用意するというシステムもまた吉本興業という会社が行っている事業な訳ですね。

土曜日にみんなが「ドリフ」を見た時代。「欽ちゃん」を見た時代とは違って、いろんなスタイルのお笑い、いろんなスタイルの芸能があって、それを自分の気に入ったスタイルで見ることができる時代。よく「画一化されている」って批判はされているけど、あの時代に比べれば今の芸能界はやはり裾野も広いなとも思うわけです。

ネットの時代になって、とても狭い、自分以外この人が好きな人なんていないんじゃないか?って芸能人にもファンが集まって話ができるスペースがあったりする。そこは時間も空間も飛び越える。
関東圏3500万人の人口なら1%でも35万人、これが地方だと数人、これでは本当は維持できない。だからネットの世界で日本全国、そして海外にファンを開拓するしかない。それがこれからの芸能人に求められることなのかもしれないし、逆にその数人のために頑張るって観点もあるのかもしれない。でも、どこかリアル。目の前にいるということを大切にしたいな。そうも思う部分ではあります。


日本に歌謡曲バーと名のつく店は多分数えるほど。そしてそのうちの1つが自分の身近であるすすきのにあること。そしてその店が存在する時代と同じ時代を歩めて、自分がお酒を飲むことができる年齢、そして体調だったり健康を維持できている。これってすごく奇跡的なことじゃないかとも思うんです。リアルな世界で飲食するということは、時間や空間を越えることはできない。だからこそ価値があって貴重なんだと思うわけです。

そして、その中で、同じ時代の曲を聴いて共感できる。そういう時間。そういう空間を本当に大切にしたいな。そうも思うのです。

こんな幸せな時間は長く続かない。それは自分の問題でもあるし、他人の問題でもある。必ずどこかで終わりを迎えるわけですね。そしてそのときに、やっぱり、あの頃は良かったなと振り返るんだと思います。そして、その振り返る一つのピースとして今の時間があってほしいな。そうも思うのです。
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