2019/04/22
NGT48
歌謡曲が好き
NGT対応の不可解な点
さて、週末はNGT関係の報道では「被害者」であるメンバーの卒業発表で予期されていたこととはいえ相当な批判がネット上に溢れました。
とはいえ、この公演にはいくつかの疑問があります。
・被害者であるメンバーは何故この公演には参加できたのか
・便箋に認めた1600字にもなる内容をそのままステージ上で話させたのか
先に断っておきますが、私は芸能人というものはプライベートで何があったかをファンに知らせる必要は無いと思っています。これは「スター」というのはプライベートを明かす必要がなく、ステージ上、テレビの中、スクリーンの中で輝いている存在であって欲しいというものです。
極端に言ってしまえば、見えないところで何が行われていようが、ステージ上で笑顔で歌っているならそれでいいのではないかと思っているわけです。
つまり、今回の事件で言えば、起きたことに対して被害メンバーと運営の間で秘密裏に解決させることが最優先の課題なのではなかったかとも思うわけです。これは被害メンバーが我慢すれば良いという話では無くて、被害メンバーと運営側が話し合い、納得できる結論に達したなら、表向きには「なかったこと」になるのがいちばんな訳です。その上で犯人はしかるべき罪を償う形になり、加害側であるメンバーにペナルティが課せられる(これも「不適切な行動があったのでそのメンバーの活動休止」なり「任意引退」という形なり)であれば、被害メンバーはある程度納得し、公にすること無く、当然私たちも知ることが無く終わった形になろうかと思うわけです。
しかし、NGTの運営側は、第三者委員会といいながら身内的な報告書を出し、地域アイドルとしながらも「新潟の特殊性」などとさも地域に問題があるような考えを隠さずもしない、そして会見で醜態を晒し、最後「被害者メンバーを追い出した」としか見えない対応をした運営側AKSのあまりにも杜撰な、余りにも残念な対応が全て台無しにしてしまったわけです。
人気商売である「アイドル」という「事業」として考えるなら、スポンサーとなる地元企業からの収益、想定されるファンからの収益を考えなければなりません。もちろん一定のアンチがいるのは仕方ないわけですから、そのアンチが増えないように、しかしアンチはまだ「興味があるからアンチ」なので、対応によってはファンに変わることもあるわけです。そして最も大事な「興味が無い」層をどう取り込んでいくのか?ということを考えるはずです。全ては「ファンを増やす」ことが事業の継続に繋がるし、会社としての収益にも繋がるということです。
しかし、AKB商法に浸ってしまったAKSはそういう真っ当なアイドル運営というのを考えなくても収益が上げられてきたために「人気商売」という側面を疎かに運営してしまったとも思えるのです。握手券付きの全国販売のCDを売れば、一部の太客が大量に購入しますので積極的なプロモーション活動は不要。2017年4月のデビューシングル青春時計は『COUNT DOWN TV』オープニングや『一正蒲鉾』CMソングとして起用、20万枚以上を売り上げます。もちろんそこには「企業としての」プロモーションは行ったとは思いますが、多くのアーティストがどれだけ頑張ってもオリコン1位を獲得できるのは一握り、このCD売上受難時代に20万枚売り上げるのは至難の業です。
人口比でいうと他のグループより不利である新潟で活動していくためにはそれ以外の地域からファンを集める必要があります。そのために必要だったのが「AKB選抜総選挙」での上位獲得であって、選挙と言いながら投票権は「購入」するわけですから、自分達のCDを買わなくても他のグループのCDを買ったファンに投票して貰う必要があった。そこに「太客」と「運営」の利害が一致したというのがこの事件の根っこにあるように思うわけです。上位に入ったメンバーはテレビなどの露出も上がりますし、そのメンバーが「新潟」の劇場で活動するのを来場して応援し、他のメンバーが見いだされ、なおかつ新潟に人が集まることにより地域に経済効果を出す。そして新潟の地元企業や官公庁がスポンサーになる。結果事業として成功する。こういう目論見があるわけですね。
結果、昨年の「AKB選抜総選挙」ではNGTから100位以内に14人がランクインすることになります。2017年も80位以内に10人が入る「旋風」があり、NGT運営が目論見通りに運営できていたことになります。
新潟日報
AKB総選挙 NGT荻野由佳が4位
前回上回る14人ランクイン、中井が”文春砲”受けたと暴露
https://www.niigata-nippo.co.jp/entame/kennai/ngt48/20180616400371.html
そして、総選挙の順位を上げるためには「太客」に一定の利益供与を行ったと考えられるのが今回の事件の根底の部分になるのではないかと推測されるわけです。
もう一つはメディア対応の問題です。今までAKBグループに「異」を唱えるのはある程度タブーがあったように思います。一部のメンバーのスキャンダルと卒業などは追いかけるものの、運営側の問題に対して批判的に取材した記事は余り多くなかったように思います。メディアにとっても人数が多く地方局やBS・CSなどの低予算でも使いやすいタレントであるAKBグループとはあまり溝を作りたくないこともありますし、特に活動地域においては地域のアイドルを批判する理由も無いわけです。複数枚購入でオリコンチャートが1位なのは分かっていても、オリコンチャート1位は祝福するわけです。批判する理由も無い。メディアと運営が一定の関係を構築できていたと考えられるわけです。
さて、運営側の立場から見ると、被害メンバーがネット上で被害があったことと、運営がそれに対して対応してくれないことを公にした後、これを終息させるためにできたことはいくつかあったと思います。しかし、それができなかったということは、それでもさらに「公にされて欲しくない事実」があったからに他なりません。結果NGTに「興味の無い人」ですら事実を知り逆の意味で「興味を持って」しまった。
ネット上には真偽の分からない情報が溢れ、それを週刊誌、ワイドショーメディアが追いかける展開になります。
運営は「第三者委員会」で事実と対応策を発表し終息しようとしますが、その第三者委員会報告書すら杜撰であって、終息にはほど遠い状態になってしまった。
そして、今まで一定の関係ができていたメディアが掌を返すようにこの問題を報じていくのは、AKB商法の終焉を予感させるものでもありますし、メディアとて「おいしい」想いをしなければ着いてこないわけですね。今はこの話題を取り上げた方が視聴率的にもよいということになってしまった。そして被害メンバーの卒業発表という「メディア的には最高の結末」になってしまったというわけです。こうなるとNGTのいい面が仮に少しでもあったにしても、叩く形にしか報道されませんし、視聴者も被害側に「共感」を憶えるわけですから運営側を擁護する意見はもう出てこないでしょう。
今回被害メンバーと、仲のよかった2メンバーの卒業発表はそのNGT運営によって映像が各社に提供され報道されています。この発表がさらなる「叩き」としてメディアに取り上げられることは明らかな話ですが、それを止めなかった理由はなんでしょうか。
最後まで運営と被害メンバーとの折衝ができなかったというのもあるんでしょうが、既に事態はこれを隠したところでどうにかなるという形ですらないのだと思いますし、隠したところで卒業(退職)後にさらに大きな形で手記発表などがあることは想定できるわけですから、もう運営はできることがないというのも事実だと思います。
今年度はAKB総選挙は行わないようですが、これで困るのは地方の劇場集客に繋がる地方グループだということです。結果的に「不良債権」になってしまったNGT48。AKSはどこかのタイミングで新潟からの撤退をせざるを得ませんし、形的には活動するNGTにせよ、また太客による買い支えでしか生きていく術が無いわけです。それができるだけAKB商法はまだしばらくは成立すると踏んでいるのかもしれません。
このまま元々興味の薄かった人々の記憶から忘れ去られるまで「堪え忍ぶ」これしか今の運営が取れる方法は無いとも言えましょう。