2023/11/16 歌謡曲が好き レコードが好き

レコードプレーヤーPS-F8を修理しました。そしてDP-29Fの調整


目次
  1. その前に奇抜なプレーヤーの話
  2. 話戻ってPS-F8の修理
  3. DP-29Fも針圧を見てみました

先週の続きであります。
自宅に「秘密基地」を作って、若干チープだけどレコード試聴環境を整備してみました。今回は全く動作しなくなってしまったSONY製のレコードプレーヤーPS-F8を修理してみます。

一応警告
本記事は保証期限のとっくに切れた古いレコードプレーヤを安価に修理して復活させようという意図で記載していますので、これを真似して上手くいかなかったり、機器を破損させてしまっても自己責任となります。当サイトはその補償をしません。


ところでPS-F8って型番、あまり検索しても出てこないんですね。ブラックとレッドの2色があったようです。見た目的にも機能的にも目立つ機能があるわけではありません。エントリーモデルのフルオートレコードプレーヤとしては最終期のものとは思うのですが。

その前に奇抜なプレーヤーの話

ちなみに型番が近いPS-F5・PS-F9って型番のレコードプレーヤー。こちらは超奇抜な形で「フラミンゴ」というネーミングで売っておりました。

ソニー坊やと呼ばれた男 PS-F9 / PS-F5 1983年2月
https://bouya.officew.jp/ps-f9-ps-f5/

SONYは奇抜なというか挑戦的な機種に「9」の型番をつけると言われていますが、確かに奇抜です。この見た目でレコードプレーヤーってどうやって再生するの?って思っちゃうよね。縦にレコードが刺さって再生できるという余りにも奇抜です。立てても横にしても使える。しかもバッテリ駆動にFMトランスミッター(FMの電波として再生した楽曲を電波で飛ばして、FMラジオで聞くことができる)まで付いている。意欲作です。

もう一つはPS-Q9 / PS-Q7という機種。こちらは水平にレコードをセットしますが、本体の横幅は215mmとLPレコードのサイズの2/3というサイズです。レコードがはみ出して再生されるという姿から「ヘリプレーヤー」というネーミングでした。

ソニー坊やと呼ばれた男 プレーヤーシステム 1984年1月
https://bouya.officew.jp/ps-1984-01/

 PS-Q9 / PS-Q7
PS-Q9 / PS-Q7

SONYの奇抜で、そして、欲しい!と思わせるこの製品群、いや、今見るとそんなもの、音はいまいちだろうしさぁ・・・って言いたくなっちゃうだろうけど、でも、きっとこの「マシン」が家にあると生活が少し楽しかっただろうなぁって思ったりもするのです。

そんな中、オーディオテクニカ社は「サウンドバーガー」を復刻、そして現在風にアレンジして発売しました。

レコードプレーヤー「サウンドバーガー」AT-SB727
https://www.audio-technica.co.jp/product/AT-SB727


この動画もなかなかイかして(微妙な表現)いますが、BluetoothにUSB充電とちゃんと今風の製品になっています。


話戻ってPS-F8の修理

ではPS-F8を修理していきましょう。
まずはアームを固定します。ねじりこ(中に針金が入ってるケーブルをまとめるもの)でアームの待避部分に固定しておきます。アームがぶらぶらしてると針を壊しそうですからね。そのあとゴムマットとターンテーブルを外します。固定はされていないので上に引き上げるだけです。
 ターンテーブルを外す
ターンテーブルを外す

ベルトの交換
ターンテーブルに残った劣化で切れてしまったベルトの残骸は丁寧に取り除きます。
 購入したベルト
購入したベルト
ベルトに触るときはできるだけ皮脂をつけないように使い捨て手袋などを使った方が良いと思います。
 ターンテーブルにベルトを巻く
ターンテーブルにベルトを巻く
前回の記事のとおり、ターンテーブルのベルト部円周が660mmでしたのでその長さのものを購入しています。プーリーにかける部分を含めれば680mm程度ですが少し伸ばし気味で大丈夫と思われます。
ターンテーブルを戻し、プーリーにベルトをかけます。通常は外側にかけるだけでOKです。
 プーリーにベルトをセット
プーリーにベルトをセット
 プーリー部
プーリー部
軽くターンテーブルを回して問題ないことを確認します。ゴムマットを戻し、アームを元に戻して1枚再生してみます。
 元の針のままで再生
元の針のままで再生
問題なく再生できました。

カートリッジ(針)の交換
元の針のままで特に再生に問題は無さそうですが、今回はカートリッジ(針)も交換してみます。前回記事に書いたとおり純正品はもう入手できず、互換のありそうで安価なオーディオテクニカ製のATN3600Lを購入してみます。
 元の純正カートリッジ
元の純正カートリッジ
 ATN3600L
ATN3600L
では実際にカートリッジを外してみますが・・・固い。少し手前下にチカラを入れると外れるはずなのですが、出荷時から30年以上全く触っていない場所でしょうからね。難儀しましたがなんとか外れました。針カバーはつけたままで外した方が良いです。不用意に針に触ると痛いですし、針もダメにします。
 カートリッジを外す
カートリッジを外す
新しいカートリッジは針カバーが付いていますのでそのまま奥側を引っかけて上にパチン!って感じなんですが、チカラ加減が難しいですねぇ。
 無事に新しいカートリッジに取り付け
無事に新しいカートリッジに取り付け

針圧を測ってみる
今回安価な針圧計も購入してみました。針圧測ってもPS-F8は調整ができないので特に意味は無いのですが。
 4.16g
4.16g
4.16gですか。オーディオテクニカのカタログ上ATN3600Lの針圧は3.0~4.0g(3.5g標準)となっています。ちょっと重すぎますね。調整は効かないのでこのまま使いますが。
(なお、針圧計はレコード盤の高さで測りますので、ゴムパッドを外して測り直しているが結果は同じだった)
一般的に針圧が高いと低音が出るのと、溝に対する追随がよくなりますので、ある程度雑に扱って傷が多いレコードを聴く、また、SONY的な低音重視と思えばこの調整でいいのかもしれませんね。

一応元のSONY針とオーディオテクニカATN3600Lの比較です。同じ場所を再生していませんのでアレですが。



リフト機構の不具合
さて、ベルト、針の前に気になる不具合がありました。PS-F8は回転数と盤サイズをボタンで設定すれば、あとは再生ボタンを押すだけで再生されます。しかし、アームは盤の上まで来ますが針がおりてきません。
ちょっとつつくと降ります。ふわぁっと降りる機構がついていますので、そのふわぁの部分に問題がありそうです。

こんな感じで残念すぎます。表向きに見える場所に注油して改善していたのですが、すぐに同様の症状が発生。裏蓋を開けるしかありません。裏蓋はネジ5本+スイッチパネル下に2箇所のネジがあります。少し後ろ側にスライドさせて外します。
針が降りる機構、針上下ボタンを押して1秒程度経ってからふわぁっと降りる機構のようで、この機構部分のグリスアップが切れているようです。怪しい部分数カ所に注油して戻しています(写真撮り忘れる大失態)

このときに電子基板にありますコンデンサなどの部品も綺麗ですし膨らんだり液漏れしたりはしていません。これで修理完了です。
 保証書
保証書
家の中の保証書やマニュアルを保存しているファイルの中から、この機種の保証書が出てきました。「62」は昭和62年、1987年ですね。定価は19,800円で購入場所は北海道ではメジャーな電気店だったそうご電器です。新琴似店とはちょっとローカルですね。

なお、45回転も33・1/3回転も特に調整せずにきっちりその回転数が出ていますので、流石はソニーというか、今まではベルトが伸びててちょっと不安定だったかもしれません。

DP-29Fも針圧を見てみました

今回購入した針圧計はアマゾンでお安かった「Proster 針圧計」で1500円もしないというものです。精度がどの程度か見てみます。
製品の同梱品に5gの分銅が入っているのですが、これがちゃんと5gなのか。
 家にあった秤で5g
家にあった秤で5g
 Proster 針圧計で5g
Proster 針圧計で5g
ちゃんとしてるっぽいですね。

では、DP-29Fの針圧を見てみます。ゴムマット外して測ろうとしてもレコードの高さよりはるかに高いのでターンテーブルも外します。
 DP-29Fの針圧
DP-29Fの針圧
測定結果は4.23gです。ちょっと高すぎませんかねぇ。説明書では最適針圧3.5gって書いてあるんですよ。
 DP-29F取扱説明書
DP-29F取扱説明書
これは標準カートリッジのDSN-84の規格と思いますので、ここに合わせていきたい。

しかし、この機種も針圧調整なんて格好良い機能は持っていないので、今回手元に転がっていたボルトをアームの後ろ側に置いてみます。シーソーと同じで針部分の圧力を抑えるならば反対側におもりを乗せるのですね。(PS-F8はアームの後ろが隠されているのでこの方法が使えない)
 10gのボルト
10gのボルト
 これをのせると3.32g
これをのせると3.32g
乗せますと3.32gになりました。これで試してみましょう。

重り有り(針圧3.32g)

重りなし(針圧4.23g)

うーん・・・大きく変わるか?といわれると微妙。高音の感じが少し変わるかなぁ。あんまり細かいこと考えないで聞く方が良いのかもしれません。

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