BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/48932441
>1999年には、喜多川氏が少年たちを事務所で性的に虐待していると告発する一連の記事を、週刊文春が掲載した。
喜多川氏は告発内容を全面否定し、週刊文春を名誉毀損で訴えた。裁判には勝訴したが、のちに判決の一部が覆された。同氏が犯罪に問われたことはなかった。
>一方で、物議をかもす人物でもあった。どれも証明されなかったが、パワハラと性的虐待の告発が繰り返された。ジャニーズ事務所は業界であまりに圧倒的な存在だったため、ジャニー喜多川氏を批判することはほとんど不可能だった。強大なジャニーズ事務所を脅かそうと挑む人は、日本の主要メディアには皆無だった
このように性的虐待を扱った記事があったわけです。記事にある「裁判」ではどのような判決が出ていたんでしょうか。
ジャニーズ事務所とジャニー喜多川氏は週刊文春が1999年から掲載した追及記事で、名誉を毀損されたとして民事訴訟を起こすことになります。
この裁判について扱ったメディアは当の週刊文春以外はほぼ皆無であります。
私もかなりネット上をさまよったあげくに見つけたのはこの記事くらいです。
milkjapan.com
【国内】ジャニーズ事務所・週刊文春損賠訴訟第1回口頭弁論
http://www.milkjapan.com/2000kn13.html
昨年10月から続いている「週刊文春」(文芸春秋社)の告発記事で、名誉を著しく傷つけられたとして、ジャニーズ事務所と同社長のジャニー喜多川(本名:喜多川擴(きたがわ ひろむ))が、文芸春秋社と取材記者らを相手取り、1億2000万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の第1回口頭弁論が先月19日、東京地裁で開かれた。ジャニーズ側代理人は「記事は事実無根」としており、対する文春側も「内容はすべて真実。ぜひ社長自らが法廷に立ち、自らの潔白を証明してもらいたい」と主張している。次回は来月29日に行われる。
milkjapan.com
http://www.milkjapan.com/2003fn12.html
東京高裁・ジャニーズ事務所社長のセクハラ認定、賠償減額
所属タレントにわいせつ行為を繰り返していたなどと、「週刊文春」が1999年10月以降に掲載した記事で名誉を傷つけられたとして、大手芸能プロダクションの「ジャニーズ事務所」(東京都港区)とジャニー喜多川(本名・喜多川拡)氏が、発行元の文芸春秋らを相手取って合計1億700万円の損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は今月15日、昨年3月の1審東京地裁判決で出された880万円の賠償額を120万円に減額した。
判決理由について矢崎秀一裁判長は、「少年たちの証言は具体的で信用でき、記事の重要部分について真実性の要件を満たしている」とし、セクハラ行為があったことを初めて認定した。ただし少年らによる飲酒や喫煙が日常的に行われているといった一部の記事については名誉棄損を認めた。
ここで争われた争点は
国会 第147回国会青少年問題に関する特別委員会
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/147/0073/14704130073005a.html
のちに宝塚市長となる阪上善秀議員がかなり突っ込んだ質問を行っています。(その後阪上氏は市長時代に収賄で逮捕される)
ここでは「厳重注意、始末書をとった日時、ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんが、間違いなく厳重注意、始末書処分をいたしておるところでございます。」と少なくとも未成年者飲酒、喫煙についてはジャニーズ事務所に対して警察庁も厳重注意を勧告、始末書を取るなどの警察的な対応はされています。こうなりますと、裁判で認定された部分も含めてジャニーズ事務所が少なくとも2000年頃まで、未成年者アイドルに対して少なからず一般の社会常識に反した行為を黙認、また、その様な行為を行っていたと断定することが可能かと思うわけです。
この国会委員会答弁では、ジャニーズ事務所に入所した地方出身者が身寄りとする事務所に対して「親権」に類するかどうかというのも議論があります。あくまで一般的な感情ではありますが、親元を離れ事務所内の合宿所で共同生活を行うことに対して、親権はともかく、事務所は責任を有するわけです。そのなかで飲酒、喫煙などの行為だけでなく、喜多川氏からの性的虐待があったと認定されている以上、アイドルの親の立場ならあまりにも恐ろしく、怖いイメージになるわけです。
ただ、その肉体的、精神的な拘束行為そのものが、ジャニーズ事務所のアイドル全体が「仲間」というより「家族」として運営されていく、また、その関係性から「芸能」「エンターテイメント」としての一体感などが生まれるという側面もあったかもしれないと思う部分でもあります。ですからジャニー喜多川氏の「エンターテイメント」を造り上げ、エンターテイナーを育て上げる裏方としての評価そのものは揺らぎのない事実だろうとも思うわけです。しかし、それを実現するために未成年者も含めた低年齢のアイドル予備軍なメンバーを傷つけていたのもまた事実なのではないかと思うわけです。
しかしながら、これらの記事はほとんど大手メディアでは扱われることはありませんでした。ジャニー喜多川氏が亡くなり、現在のジャニーズ事務所ではコンプライアンス重視の運営をされていると信じたいところですが、元のこれらの不法行為が認定されながら、それに反省も無く、無かったことにするというのも、何か引っかかるものを感じてもいるわけです。また、少なくともこのことを報じた大手メディアはほとんど無いのも、国の息がかかったNHKも含めて情報の忖度ができる世の中であることを表しているわけで、非常に恐ろしいことだとも思うのです。